三菱ケミカルホールディングスの2016年から2020年の経営計画。2020年にコア営業利益3800億円、純利益1800億円、ROE12%を目指す。成長投資に1兆円、R&Dに7000億円を充当。海外売上高比率を2015年の43%から2020年に50%に引き上げる。
また、三菱化学と三菱樹脂、三菱レイヨンの3社を三菱レイヨンを存続会社とする吸収合併で1社に統合。経営資源を最大限に活用できる体制を構築し、生産性向上によるコスト競争力を強化する。2017年4月1日に完了予定。
2016年~2020年の経営計画
【業績】
2020年 | |
コア営業利益 | 3800億円 |
純利益 | 1800億円 |
ROE | 12% |
ネットD/Eレシオ | 0.8 |
※コア営業利益:IFRS基準に基づく営業利益から非経常的な要因で発生した損益を除いた収益
【セグメント別】
営業利益 | 成長投資 | R&D投資 | ||
2015年 | 2020年 | |||
機能商品 | 685億円 | 1200億円 | 2600億円 | 1700億円 |
素材 | 920億円 | 110億円 | 3200億円 | 800億円 |
ヘルスケア | 905億円 | 1100億円 | 3900億円 | 4400億円 |
コーポレート他 | ▲30億円 | 0億円 | - | - |
次世代事業
項目 | 内容 |
ヘルスケアソリューション | 再生医療、診断支援システム、植物由来ワクチン |
バイオソリューション | 植物工場利用の高機能野菜栽培、植物由来モノマー・ポリマー、腸内細菌叢の効果利用 |
ガスソリューション | 人工炭酸泉、細胞凍結保存、水素ステーション、ガスの医療応用、安定同位体医薬、ガス・液の分離材料 |
新エネルギー・高機能材料 | 有機太陽電池、ケイ素材料 |
三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの統合効果は?
三菱ケミカルホールディングスの2014年のROEは6.4%に対し、住友化学は7.3%、東レは7.7%だった。経常利益率も三菱ケミカルは4.5%に対し、住友化学は5.4%、東レは6.1%と見劣りする。三菱ケミカルはROE10%台を目標に、収益力強化に取り組む。
3社合計4万2000人の従業員は、戦略部門などに配置。三菱化学と三菱樹脂が手がけるリチウムイオン電池の主要部材で両社の壁を撤廃する。また、付加価値の高い製品を拡充。自動車や電池などに用いる炭素繊維や高機能樹脂の拡大に経営資源を振り向ける。
2012年 | 2013年 | 2014年 | ||||
ROE | 経常利益率 | ROE | 経常利益率 | ROE | 経常利益率 | |
三菱ケミカル | 2.3% | 4.1% | 3.7% | 3.2% | 6.4% | 4.5% |
住友化学 | ▲10.4% | 3.1% | 6.5% | 4.5% | 7.3% | 5.4% |
東レ | 7.2% | 5.2% | 7.5% | 5.7% | 7.7% | 6.1% |
【子会社3社の主な動き】
三菱レイヨンは主に自動車向けに注力。風力発電翼など産業用途も強化する。航空機向けではエアバスに供給。将来的に航空機関連の売上に占める割合を10%から30%まで高める計画。
年 | 投資額 | 内容 |
2015年 | 300~400億円 | 米国に炭素繊維の新工場。稼動は2018年 |
2014年 | 30億円 | 独自動車用炭素繊維部品メーカーを買収 |
70億円 | 米国で生産能力増強。稼動は2016年 | |
2013年 | - | 独BMWの電気自動車向け炭素繊維原料の生産開始 |
持ち合い株を売却
保有する約2400億円相当の持ち合い株のうち、約1000億円を2016年~2018年に売却する方針。保有先と時期や売却数で合意できた銘柄から売却する。売却後は、炭素繊維や高機能フィルムといった成長事業への投資資金に充当する。