三菱ケミカルホールディングスは、2015年7月16日、2017年4月をめどに傘下の三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンを1社に統合する検討に入ったと発表した。3社の組織や機能の重複を無くし、事業や技術の相乗効果を発揮しやすくする。統合の形態は2015年度中に決定する。

項目 内容
統合 三菱化学 三菱樹脂 三菱レイヨン
時期 2017年4月

 


主要化学企業との収益力比較と収益力向上への取り組み

三菱ケミカルホールディングスの2014年のROEは6.4%に対し、住友化学は7.3%、東レは7.7%だった。経常利益率も三菱ケミカルは4.5%に対し、住友化学は5.4%、東レは6.1%と見劣りする。三菱ケミカルはROE10%台を目標に、収益力強化に取り組む。

3社合計4万2000人の従業員は、戦略部門などに配置。三菱化学と三菱樹脂が手がけるリチウムイオン電池の主要部材で両社の壁を撤廃する。また、付加価値の高い製品を拡充。自動車や電池などに用いる炭素繊維や高機能樹脂の拡大に経営資源を振り向ける。

  2012年 2013年 2014年
ROE 経常利益率 ROE 経常利益率 ROE 経常利益率
三菱ケミカル 2.3% 4.1% 3.7% 3.2% 6.4% 4.5%
住友化学 ▲10.4% 3.1% 6.5% 4.5% 7.3% 5.4%
東レ 7.2% 5.2% 7.5% 5.7% 7.7% 6.1%


三菱ケミカル 子会社3社の主な動き

 【三菱レイヨンの炭素繊維】
三菱レイヨンは主に自動車向けに注力。風力発電翼など産業用途も強化する。航空機向けではエアバスに供給。将来的に航空機関連の売上に占める割合を10%から30%まで高める計画。

投資額 内容
2015年 300~400億円 米国に炭素繊維の新工場。稼動は2018年
2014年 30億円 独自動車用炭素繊維部品メーカーを買収
70億円 米国で生産能力増強。稼動は2016年
2013年 - 独BMWの電気自動車向け炭素繊維原料の生産開始