筑波大学は藻類からつくった油の産業応用を目指した研究開発拠点を7月1日に設立する。自動車やジェット機の燃料のほか、プラスチック、化粧品など幅広い応用を想定している。研究者約50人が参加する国内最大級の藻類研究拠点として、基礎研究から実用化までを一貫して担う方針。
発足するのは「藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センター」(センター長・渡辺信筑波大教授)。遺伝子工学や健康医学などを専門とする研究者らが所属する。
藻類は二酸化炭素(CO2)を吸収しながら光合成で育ち、体内に油脂をため込む。センターでは藻類の大量培養技術や成分の解析、遺伝子制御技術などの開発に取り組み、有用な油を高効率・低コストでつくれるようにする。
産業技術総合研究所やメーカーとも連携し、藻に含まれる成分を活用したプラスチック、家畜の飼料や化粧品、医薬品などの10年以内の実用化を目指す。筑波大発ベンチャーの藻バイオテクノロジーズ(茨城県つくば市)が培養した藻類から抽出した有用成分を外部に供給する計画。
石油など化石燃料の代替としてバイオ燃料を活用する動きは、航空業界などで活発化している。