レドックスフロー電池はバナジウムなどイオンの酸化還元反応を利用して充放電を行う蓄電池。大量に電力を貯める事ができ、電極や電解液の劣化がほとんどなく20年以上の使用に耐える。発火材料を用いておらず安全性も高い。太陽光や風力など再生可能エネルギーを長期貯蔵するために必要となる安定化技術として期待されている。
高価なレアメタルを使わず複数の金属素材を使った代替材料を開発。電地生産コストを現在の10分の1以下にできる可能性がある。実用化に向けて検証や量産技術の確立を進める。
住友電気工業はレドックスフロー電池を国内だけでなく、海外でも普及拡大させていく計画。2020年に年1000億円規模の事業を目指す。
レドックスフロー電池の主な推移
年月 | 内容 |
2017年3月 | SDG&Eと米サンディエゴで蓄電システムの運転実証 |
2016年5月 | SDG&Eからレドックスフロー電池を受注 |
2015年 | 北海道電力と共同で実証試験を開始 |
レアメタル不要の技術を開発。生産コスト10分の1に | |
2014年4月 | レドックスフロー電池技術に関する国際標準化活動開始 |
2013年 | 大阪製作所で生産開始 |
2012年7月 | 横浜製作所で大規模蓄電システムの実証運転開始(日新電機・明電舎) |
【米サンディエゴ・ガス・アンド・エレクトリック(SDG&E)】
2016年5月、米国電力大手SDG&Eからレドックスフロー電池を受注。蓄電池の容量は2000キロワット。事業規模は数十億円とみられる。今後は数年内に米国で部品の調達体制を整え、組立工場も建設する方向で検討も進める。
2017年3月には、SDG&Eと協力し、米サンディエゴで米国最大規模となるレドックスフロー電池を用いた蓄電システムの運転実証を開始。変電所内にレドックスフロー電池を設置し、周波数調整、電圧調整、余剰電力対応などの多用途運転を行う。
【北海道電力との実証実験】
北海道で蓄電施設を2015年12月から稼動し、2018年まで実証実験を行う。総工費は約200億円で、国の資金で賄われる。蓄電池から充電で気象変化で生じる風力発電や太陽光発電の発電量の変動を抑制する。
住友電気工業の業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2017年(予) | 3兆円 | 1950億円 | 1150億円 | - | - | - |
2016年 | 2兆8144億円 | 1738億円 | 1075億円 | 1兆6265億円 | 2兆9035億円 | 48.7% |
2015年 | 2兆9330億円 | 1656億円 | 910億円 | 1兆5612億円 | 2兆7428億円 | 49.6% |
2014年 | 2兆8228億円 | 1605億円 | 1197億円 | 1兆6469億円 | 2兆9257億円 | 48.9% |
2013年 | 2兆5687億円 | 1453億円 | 667億円 | 1兆3799億円 | 2兆5548億円 | 46.6% |
2012年 | 2兆1599億円 | 941億円 | 379億円 | 1兆2446億円 | 2兆2975億円 | 46.7% |
2011年 | 2兆593億円 | 1066億円 | 588億円 | 1兆1389億円 | 2兆720億円 | 47.7% |
2010年 | 2兆338億円 | 1290億円 | 706億円 | 1兆926億円 | 1兆9562億円 | 48.5% |