蓄電池において、リチウムの代替材料としてナトリウムを使用する研究が進んでいる。イオン電池は、プラス極とマイナス極をイオンが移動することで放電する。この時に、イオンが正極と負極の材料の間にうまく入り込む必要がある。
ナトリウムイオンは、リチウムイオンに比べて約2倍の体積があるため、電極の材料に入り込むことが難しく、実用化は困難だと考えられてきた。
しかしながら、2009年に東京理科大学の駒場慎一教授らの研究グループが、マイナス極に炭素系の材料を使用したところ、ナトリウムイオン電池による繰り返しの充放電に成功した。
ナトリウムイオン電池のメリット
【原料コストの低減】
リチウムやコバルトというレアメタルを使用しない。電気を流す基盤に銅ではなく、アルミニウムを使用できるなど、高価な材料を使わないため、リチウムイオン電池と比べて10~30%コストダウンができるという。
【既存の生産工程を使用】
ナトリウムイオン電池の仕組みは、リチウムイオン電池と同じなため、電池メーカーの生産設備をナトリウムイオン電池の生産にそのまま使用できる。設備投資がほとんど必要ないため、各メーカーは代替電池として生産しやすい。
【急速な充放電】
原理的にはリチウムイオン電池の5分の1で充電できるもよう。
ナトリウムイオン電池のデメリット
電池に蓄えられるエネルギー量がリチウムイオン電池より劣る。ナトリウムはリチウムに比べて重いため、同じ重量の電池では、リチウムの方が容量が大きくなる。
ナトリウムイオン電池 関連企業一覧
コード | 企業 | 内容 |
5802 | 住友電気工業 | 電池内部が低温でも動作するナトリウムイオン電池を開発 |
7203 | トヨタ自動車 | HVやPHV向けに研究 |
- | 三菱化学 | 東京理科大学の駒場教授と研究 |
【住友電気工業】
2013年に電池内部が低温でも動作するナトリウムイオン電池を開発。排熱スペースが不要で、リチウムイオン電池より小型化できる。住宅用の蓄電池や電気自動車向けの納入を目指している。