日立造船は住友電気工業や三菱商事などと組み、新潟県沖に洋上風力発電所を建設する。総事業費は1000億円規模。出力は20万キロワット超で約17万世帯分の電気を供給。稼動は2024年度を目指す。
沖合い2キロメートル程度の海域に40~50基の風車を設置する。発電した電気は東北電力など電力会社に売却する方針。2015年度から事業化調査に入り、採算性を見極めて2020年度に着工する見通し。
事業
企業 | 提携 | 総事業費 | 出力 | 稼動 |
日立造船 | 住友電気工業 | 1000億円 | 20万kW | 2024年 |
三菱商事 | ||||
Statoil | 30~50億円 | 5000~6000kW | - | |
ソフトバンク | - | 500億円 | 9万kW | 2017年 |
丸紅 | 英洋上風力大手 | - | - | - |
【日立造船】
2014年4月、ノルウェーの国営エネルギー会社Statoil社と浮体式洋上風力発電の技術提携協定の延長契約を締結し、日本国内における事業採算性調査を行うと発表。2015年6月までに東日本を中心に立地先を選定。出力は5000~6000キロワット。事業費30~50億円。
【ソフトバンク】
茨城県沖で計画する企業へ子会社を通じ約5億円を出資。2014年内に建設を開始し、2017年に発電を始める計画。出力は9万キロワット。総事業費は500億円を上回る見通し。
【丸紅】
2013年6月、丸紅が出資しているイギリスの洋上風力発電建設大手が日本法人を設立。2015年以降、日本の沖合いで洋上風力発電の設置工事が本格的に動き出す。
実証実験
【福島県沖】
2013年11月、企業と大学が組み、2000キロワットの風力を運転。東北電力を通じ500~600世帯に電力を供給する。2014年度には発電能力が7000キロワットの風車を2基増設。
企業 | 役割 |
丸紅 | 漁業関係者などとの事前協議、許認可、維持管理 |
三菱商事 | 観測予測技術、航行安全性 |
三菱重工業 | 風力発電機、浮体の製造 |
ジャパンマリンユナイテッド | 浮体の製造 |
三井造船 | 浮体の製造 |
新日鐵住金 | 高性能鋼材の開発 |
日立製作所 | 洋上変電設備・風力発電機の製造 |
古河電気工業 | 大容量電線の製造 |
清水建設 | 海域調査、施工 |
【長崎県沖】
環境省は、2013年10月、五島列島沖で実証実験を開始。出力は2000キロワット。発電力は一般家庭1800世帯分。2年掛けて発電効率や周辺環境への影響を検証し、2016年度の実用化を目指す。
参考
2020年までの世界の洋上風力新規導入は欧州で70~80%を占めると予測されている。2012年末の世界の洋上風力発電設備能力は541万キロワットで電力発電全体の2%、うち90%は欧州に集まっている。また、EUはエネルギー消費に占める再生エネルギー比率を2012年の14.1%から2020年までに20%に引き上げる計画。欧州風力エネルギー協会は、目標達成には4000万キロワットの洋上風力が必要で、投資額は最大1230億ユーロ(約17兆3000億円)となると試算されている。
【再生エネの発電効率と買取価格】
発電効率 | 買取価格 | |
太陽光 | 10%台半ば | 29円 |
陸上風力 | 20%台 | 23円 |
洋上風力 | 30%以上 | 36円 |