タカラバイオは医療用の細胞製造に乗り出す。がんなどの治療に役立つ遺伝子を導入した細胞を2015年度をめどに量産。年数百人の製造量を最大2400人分に引き上げる。
細胞を医療用に加工することは医療機関にしか認められていなかった。2014年11月から再生医療等安全性確保法と改正薬事法が改正され、民間企業でも医療用細胞を製造受託できるようになる。
タカラバイオでは2014年10月に滋賀県に新拠点「遺伝子・細胞プロセッシングセンター」が稼動。病院などの患者の血液から細胞を採りだし、治療に利く遺伝子を導入した細胞を製品として病院に提供する。また、関連する物資の製造も新拠点に集約して効率的な生産をとる。
タカラバイオ 医療用の細胞製造
項目 | 内容 |
事業 | 医療用細胞製造 |
量産 | 年数百人分→2400人分 |
タカラバイオの再生医療関連の動き
内容 | 時期 |
iPS細胞作製に関する特許を分化細胞ビジネスで利用 | 2014年11月 |
心筋細胞で新薬の安全性確認事業に採択 | 2014年10月 |
幹細胞事業CABを買収 | 2014年7月 |
心筋細胞の作成技術を導入 | 2014年6月 |
iPS細胞作製方法に関する全世界商用再センス | 2013年9月 |
【iPS細胞作製に関する特許を分化細胞ビジネスで利用】
2014年11月4日、iPSアカデミアジャパンとiPS細胞作製に関する特許を分化細胞ビジネスで利用するための特許実施許諾契約を締結。iPS細胞由来の各種分化細胞を利用した製品販売・サービスが可能になる。
【心筋細胞で新薬の安全性確認事業】
2014年10月30日、iPS細胞から心筋細胞を大量に培養し、新薬の安全性確認に活用する技術開発がNEDOの研究開発居宅事業に採択。NEDOの助成を受け、新薬候補となる物質が不整脈を引き起こす作用がないかを調べる装置を開発する。
【仏CSA社の幹細胞事業CABを買収】
2014年7月、仏OSA社の幹細胞事業CAB社の全株式を取得すると発表。2014年12月に完了。CAB社はiPS細胞などの幹細胞を肝臓細胞や膵臓細胞などに分化させる分化誘導技術やES細胞、iPS細胞、分化細胞など幹細胞関連製品を有している。
【心筋細胞の作製技術を導入】
2014年6月24日、京都大学ベンチャーiHeart社より心筋細胞の作製技術を導入。対象はヒトiPS細胞をはじめとする幹細胞から分化誘導された心筋細胞や血管系細胞を利用したリサーチツールの製造販売・受託サービス。医薬品候補物がヒトに投与された時に不整脈などの副作用を起こすか否かを評価する。2年以内にサービスを開始する計画。
【iPS細胞作製方法に関する全世界商用ライセンス】
2013年9月30日、iPSアカデミアジャパンからプラスミドベクターを用いたiPS細胞作製方法に関する全世界の商用ライセンスを取得。
業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2015年(予) | 283億円 | 28億円 | 15億円 | - | - | - |
2014年 | 259億円 | 27億円 | 9.6億円 | 596億円 | 664億円 | 89.6% |
2013年 | 239億円 | 22億円 | 14億円 | 571億円 | 625億円 | 91.3% |
2012年 | 205億円 | 19億円 | 14億円 | 414億円 | 466億円 | 88.8% |
2011年 | 195億円 | 18億円 | 10億円 | 384億円 | 440億円 | 87.1% |
2010年 | 187億円 | 12億円 | 6億円 | 376億円 | 425億円 | 88.3% |
【経営計画】
2016年度売上高280億円、経常利益24億円を目指す。バイオ産業支援事業ではiPS細胞など幹細胞を用いた基礎研究や再生・細胞医薬などの分野に向けた新製品開発を加速。医薬品バイオ事業では2015年度に営業黒字化。遺伝子医療事業は毎年前期比約20%の研究開発費を投じ、遺伝子治療の早期商業化を目指す。
2014年 | 2015年 | 2016年 | |
売上高 | 252億円 | 265億円 | 280億円 |
営業利益 | 20億円 | 21億円 | 22.5億円 |
経常利益 | 22.5億円 | 23億円 | 24億円 |
純利益 | 14.8億円 | 15億円 | 15.5億円 |
研究開発費 | 36.46億円 | 40.84億円 | 46.35億円 |