中部電力は、東京電力の新規火力発電所建設に出資し営業区間をまたいだ「越境販売」を前提に提携。三菱商事の100%子会社である新電力ダイヤモンドパワーの株式80%を取得し、東京電力管内の首都圏で電力を供給する方針。 政府は、電力会社から送電部門を切り離す電力システム改革方針を決定し、15年に地域をまたぐ電力供給設備を整え、16年に電力小売り参入を自由化。18年から20年をめどに電力料金も全面自由化する。電力市場は00年以降の規制緩和で、工場や商業施設などの大口契約については営業区間をまたいだ「越境販売」が可能になっている。しかしながら、現在まで九州電力が中国電力管内にある広島市のイオンの店舗に供給する1件のみにとどまっているという。 中部電力は、2016年の電力小売り参入自由化に向けて布石を打っている。
 

電力自由化に向けた取組

取組 内容 稼動時期
東電と越境販売で提携 東電の常陸那珂火力発電所における石炭火力発電所を共同建設 2019年
新電力ダイヤモンドパワー買収 三菱商事などと共同で東京電力管内に新型火力発電所を建設 2016年

【東京電力と越境販売前提で提携】
東京電力と中部電力は、東電の常陸那珂火力発電所に石炭火力発電所を共同で建設し、営業区間をまたぐ「越境販売」を前提で提携する。経営再建中の東京電力は設備投資に回す自己資金が足りないため、新規火力発電所建設に外部資本を活用。中部電力は東京電力と組む形で応札し、設備投資800億円の90%を出資。全体の電力のうち70%を東電に、30%を中部電力に卸供給する。2019年稼動予定で60万キロワット級の発電所。260万キロワット分の電源を確保する。

【ダイヤモンドパワー買収】
三菱商事の100%子会社であるダイヤモンドパワーの株式80%を約10億円で取得する。東京電力管内の静岡県東部に発電効率が高い新型石炭火力発電所を共同で建設し割安な電力を確保する。近く建設と運営を担う共同出資会社を設立し、2016年の稼動を目指す。三菱商事が70%、日本製紙が20%、中部電力が10%を出資。総事業費は250億円になる見通し。出力は11万キロワットで、電力はダイヤモンドパワーを通じて首都圏の顧客に供給する方針。