政府は公的年金を運用する年金積立金管理運用独立法人(GPIF)や公務員共済、住宅金融支援機構など、資産総額200兆円の運用を見直す。2015年度末までに債券中心の資産構成を改め、株式等の運用を拡大する見通し。 運用規模約120兆円と世界最大級の機関投資家であるGPIFの運用実績は、2003~2011年度14%とカナダの年金基金57%やノルウェー40%などと比べて低い。GPIFは2009年度以降、年金給付額で積立金を年4~6兆円程度取り崩しており、運用成績の向上が急務になっている。 主要10カ国の年金基金の平均株式運用比率は38%である一方、GPIFは約20%。債券運用比率が75%と高くなっている。 政府は6月中にも有識者会議を設け、GPIFの債券比率を下げることに加えて、不動産投資信託や商品先物、未公開株などに投資先を分散させることを議論するとしている。


公的年金 資産構成比較

  GPIF カナダ所得比例年金 ノルウェー政府年金基金
資産規模 114兆円 15兆円 61兆円
資産
構成
株式 20% 44% 61%
債券 75% 30% 34%
現預金 - - 2%
その他 5% 26% 3%

【年金積立筋管理運用独立行政法人(GPIF)】
公的年金である国民年金と厚生年金の保険料を運用する組織として2006年に発足。GPIFの職員は運用の専門家ではないため、実際の市場運用は信託銀行や投資顧問会社など複数の金融機関に委託している。 2011年の委託費は約230億円。株式や債券などの資産構成は5年に1度、基本割合を決め、その範囲で運用する。基本割合は国内債券67%、国内株式11%。