ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングは、2015年5月14日、2017年度に売上高29億円、純利益2.3億円と黒字化を目標とする中期経営計画を発表。2016年5月13日、2016年度に売上高20.9億円、純利益0.05億円の黒字化目標に修正した。

自家培養表皮ジェイスや自家培養難ジャック、ラボサイトシリーズを中心とする自家開発製品の製品販売に加えて、コンサルティング事業と培養受託による収入、企業や研究機関からの受託開発、公的機関からの委託・助成事業に積極的に取り組む。また、自動化を含む製造や営業活動の効率化、人事をはじめとする会社諸制度の改革に取り組む。

次期再生医療製品開発では、治験中の自家培養角膜上皮とジェイスの適用拡大、富士フイルムは研究機関からの受託開発を進める。

海外展開では、中国やタイ、富士フィルムのネットワークを活用して展開を進める。

中国では富士フィルムが上海に設立した子会社を活用し、中国での再生医療技術の認可を目指す。


経営計画と業績推移

【経営計画】

  2016年 2017年 2018年
売上高 22億円→20億円 29億円→24億円 27億円
営業利益 ▲3.3億円→0.1億円 1.1億円→1.2億円 1.5億円
経常利益 ▲1.8億円→0.1億円 2.6億円→1.2億円 1.5億円
純利益 ▲1.9億円→0.05億円 2.3億円→1億円 1.2億円


【業績推移】
2016年度は自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの売上高増加に加え、経費の圧縮により大幅に損益を改善し、営業利益を計上する見込み。

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2016年(4-9月) 7.6億円 ▲1.6億円 ▲1.6億円 75億円 80億円 93.6%
2016年(4-6月) 3.6億円 ▲1.2億円 ▲1.2億円 76億円 81億円 93.1%
2015年 14億円 ▲6.7億円 ▲6.8億円 77億円 82億円 93%
2014年 13億円 ▲6.8億円 ▲6.9億円 83億円 88億円 94.8%
2013年 10億円 ▲8.2億円 ▲8.2億円 21億円 32億円 50.2%
2012年 5.6億円 ▲10億円 ▲10億円 23億円 32億円 72.5%


ジェイスとジャックの見通し

  見通し
ジェイス 将来的に国内売上高は30億円まで伸びる可能性
ジャック 将来的に国内売上高は数百億円まで伸びる可能性


ジェイスの適用拡大

2016年12月、ジェイスが先天性巨大色素性母斑向け製品として保険適用が拡大。先天性巨大色素母斑とは、生まれつき黒褐色のあざが体の広範囲に見られる疾患。悪化して皮膚がんになる危険性があるという。治療が必要な患者数は、新生児の約2万人に1人とされている。先天性巨大色素母斑の治療では、患者本人の皮膚組織を培養することで製造したジェイスを、患者の母斑切除部に移植。少量の組織採取から広範囲の治療が可能で、患者負担を軽減できるとしている。


受託

2016年3月、再生医療等製品に特化した臨床開発業務受託事業を開始すると発表。再生医療等製品の承認を目的として治験を実施する全ての企業、医師主導治験を実施する医療機関を対象に、治験開始前のコンサルティングから承認申請まで臨床開発を一貫してサポートするサービスを提供する。開始は2016年4月以降。


ジャックの生産能力増強

約10億円を投資し、ジャックの生産能力を500個から数千個に増やす。

項目 内容
投資額 10億円
生産能力 500個→数千個
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