2017年のロボット関連企業の注目の動き。AIを活用してロボットや機器の故障を未然に防ぐシステムが実用化。生産ラインの停止削減によるコスト削減効果が期待される。無人工場の稼働や自動化ラインの設置、倉庫・物流センター内で、物流支援ロボットを使った在庫管理システムを開発。生産性の向上が期待される。また、下股まひの患者の歩行練習などを助けるリハビリ用ロボットも実用化される。

以下に2017年のロボット関連企業や活用企業の動きをまとめた。


ロボット関連企業 2017年注目の動き

コード 企業 内容
6506 安川電機 ロボットの故障を未然に防ぐシステム 2017年中
6758 ソニー 人間のように学び続けるAI 2017年
6113 アマダHD 金型の無人工場を稼働 2017年7月
7911 凸版印刷 ZMPと物流支援ロボットで在庫管理システム 2017年
7203 トヨタ自動車 下股まひ患者のリハビリ用ロボット 2017年
7294 ヨロズ 米部品工場に自動化装置を導入 2017年夏
7011 三菱重工業 米ボーイング向け生産で自動化ライン 2017年~2018年


【安川電機】
日本IBMとAIを活用してロボットの故障を未然に防ぐシステムを2017年中に実用化する計画。ロボットに内蔵したセンサーから稼働データを収集。日本IBMのAIソフトを組み込んだクラウドやサーバーで、モーターや減速機の故障パターンを分析・学習・故障時期を予測し、生産ラインの停止を減らせるようにする。主要顧客である自動車工場向けに普及を目指す。 


【ソニー】
AI(人工知能)専門ベンチャーの米コシダイ社に出資。AIの深層学習と強化学習を融合させ、両社の独自のアルゴリズムを加えることで、人間のように学び続けるAIを開発する。早ければ2017年にも製品を投入する可能性を示唆している。

ソニーは2016年4月にロボットの事業化に向けた組織を立ち上げ。家庭での生活をより便利かつ快適に楽しめる用途として、顧客と心のつながりを持ち、育てる喜び、愛情の対象になり得るようなロボットの開発に着手した。


【アマダホールディングス】
2017年7月をめどに、金型の無人工場を岐阜県の事務所内で稼働させる。投資額は約100億円。生産するのは、板金を切断したり、穴を開けたりする機械に取り付ける金型。安川電機やファナックのロボットを計42台導入する計画。製造工程を完全自動化し、6~7日かかる納期を3日程度に半減できるという。


【ZMP・凸版印刷】
ZMPと凸版印刷は、共同で物流支援ロボット「キャリロ」を使った在庫管理システムを開発。2016年6月以降に実証実験を開始し、2017年中に物流会社向けへの提供開始を目指す。

「キャリロ」は運搬の生産性を最大3倍まで引き上げられる台車型ロボット。倉庫や物流センター内のピッキング業務の効率化や工程間搬送に利用される。


【トヨタ自動車】
下股まひの患者の歩行練習などを助けるリハビリ用ロボットを2017年に実用化する計画。PMDA(医薬品医療機器総合機構)と協議し、承認も視野。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでの使用も視野にいれているもよう。


【ヨロズ】
米アラバマ州に車体とタイヤ部分をつなぐ足回り部品であるサスペンション部品の工場を新設する。無人搬送機や組立ロボットなど自動化装置を導入。従業員1人あたりの生産性が約80%高まると試算している。投資額は約140億円。2016年に着工し、2017年夏の稼働を計画する。


【三菱重工業】
米ボーイング向け航空機の生産で広島製作所に自動化ラインを新設。投資額は250億円~300億円。稼働は2017年~2018年。

2020年に投入される「ボーイング777X」向けの後部胴体や乗降扉などの量産ラインを新設する。胴体のパネルの穴開けや鋲止めなどの行程でロボットや自動化設備を活用。穴開けなどでは人工知能(AI)を使い、高速加工できる最適な条件を割り出すことにつなげる。また、ロボットや機械に取り付けたセンサー、稼働データから、制御機器などの故障時期を事前に分析。予測することも行う。

三菱重工業は、ロボットの導入や人工知能の活用で、約15%のコスト削減と品質管理を両立させる。