仏ルノーと日産自動車は、2015年12月11日、仏政府との間で日産自動車の経営に仏政府が介入しないことで合意したと発表した。主な合意内容は、仏政府は日産の経営に干渉しない。日産の経営判断に不当な干渉を受けた場合、日産はルノーへの出資を引き上げる権利を持つ。ルノーと日産はそれぞれの事業の自主性を保持する。また、仏政府は議決権を行使できるが、その他の全ての案件では議決権が制限されるとした。

仏政府は2016年4月に2年以上保有する株主の議決権を2倍にする「フロランジュ法」を適用し、ルノーへの議決権を約28%まで高める。日産自動車は仏政府の影響力が拡大し、日産への経営に介入してくることを懸念。仏政府はルノーへの経営関与を強める姿勢を示していた。


ルノーと日産 仏政府と経営不介入で合意

項目 内容
合意内容 仏政府は日産の経営に干渉しない
日産の経営判断に不当な干渉を受けた場合、日産はルノーへの出資を引き上げる権利を保有
ルノーと日産はそれぞれの事業の自主性を保持する

 


日産自動車 仏政府への対抗策

日産自動車は、ルノーへの出資比率を15%から25%に引き上げることを検討。日産がルノー株式を25%以上保有すれば、日本の会社法の規定によってルノーの日産への議決権43.4%をなくせる。ルノーの筆頭株主である仏政府の影響力を低下させる狙い。

また、日産が新株を発行し、ルノーの議決権を40%未満まで薄めることを検討。フランスの会社法により、40%以上の出資を受ける企業は出資元に対して議決権を持てないため、日産が保有するルノー株式15%には議決権がない。ルノーの議決権を40%未満まで薄め、日産の保有するルノー株式に議決権を付与させる狙い。

なお、現在日産は、ルノー株式を15%、ルノーは日産自動車株式を43.4%保有している。