ミドリムシ培養のユーグレナは、2013年12月、公募増資などで約76億円を調達した。ミドリムシを原料としたジェット燃料の開発や健康食品の販売拡大を狙った企業買収に充てる。
調達した76億円のうち43億円は2020年の実用化を目指すミドリムシ由来のジェット燃料に関する研究開発の設備投資に充てる。原材料の培養から油脂の精製までできる設備を作る。また、10億円を国内ヘルスケア事業拡大のための企業買収資金に2億円を研究開発資金に、2億円を子会社の借入金返済資金に充当する。また、資金需要発生までは安全性の高い金融商品などで運用する。
ユーグレナはミドリムシの食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ミドリムシを活用した食品や化粧品の製造販売、バイオ燃料開発の事業を展開。2018年にユーグレナ食品国内市場を300億円規模に拡大することやバイオジェット燃料生産の技術を確立するため、広告宣伝、設備投資、研究開発、M&Aを計画している。
{主要業績指数推移}
【連結】
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売上高 |
経常利益 |
純利益 |
純資産 |
総資産 |
自己資本比率 |
2014年(予) |
31億円 |
2億円 |
1億円 |
- |
- |
- |
2013年 |
20億円 |
2億円 |
4億円 |
25億円 |
32億円 |
78.2% |
【2009年~2012年個別】
|
売上高 |
経常利益 |
純利益 |
純資産 |
総資産 |
自己資本比率 |
2012年 |
15億円 |
3億円 |
2億円 |
11億円 |
13億円 |
85.1% |
2011年 |
11億円 |
3億円 |
2億円 |
9億円 |
12億円 |
78.6% |
2010年 |
7億円 |
1億円 |
1億円 |
5億円 |
6億円 |
85.9% |
2009年 |
2億円 |
▲3億円 |
▲2億円 |
1億円 |
1億円 |
74.2% |
{増資資金使途}
調達した資金約76億円のうち43億円は2020年の実用化を目指すミドリムシ由来のジェット燃料に関する研究開発の設備投資に充てる。原材料の培養から油脂の精製までできる設備を作る。また、10億円を国内ヘルスケア事業拡大のための企業買収資金に、2億円を研究開発資金に、2億円を子会社の借入金返済資金に充当する。また、資金需要発生までは安全性の高い金融商品などで運用する。
投資額 |
対象 |
時期 |
43億円 |
ジェット燃料に関する研究開発・生産設備 |
2016年9月期まで |
10億円 |
国内ヘルスケア事業拡大のための買収 |
2014年11月まで |
2億円 |
研究開発費 |
2015年9月期中 |
2億円 |
子会社八重山殖産の借入金返済 |
2014年9月期中 |
残高 |
販促費や宣伝広告費など運転資金 |
- |
{中期経営計画}
2013年のユーグレナ食品国内市場79億円から2018年は300億円規模に拡大。ユーグレナ社の食品国内市場売上高を2013年の17.5億円から2018年は150億円、営業利益30億円以上を目指す。また、海外市場を開拓し、2018年にユーグレナ食品海外市場規模300億円を目指す。
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2013年 |
2018年 |
内容 |
ユーグレナ食品国内市場 |
79億円 |
300億円 |
- |
ユーグレナ社売上高目標 |
17.5億円 |
150億円 |
ユーグレナ国内市場での営業利益30億円以上 |
ユーグレナ食品海外市場 |
- |
300億円 |
東アジア |
新資源登録準備は全て完了 |
伊藤忠商事と連携で開拓中 |
中国 |
2014年1月からミドリムシ食品販売へ |
東南アジア |
イスラム圏 |
ハラール取得準備は全て完了 |
バングラディシュで嗜好性調査を開始 |
各商社との連携で開拓中 |
【中国市場】
2013年11月26日付けで中国衛生部からミドリムシ原料を販売するための許可を取得。2014年1月からミドリムシを使ったサプリメントの販売を開始する。上海や北京など大都市を中心に漢方など美容関連商品を扱う店舗で販売し、徐々に内陸部に販路を広げる。中国保険協会によると、中国の健康食品市場規模は2015年まで毎年10%以上成長する見通し。
【バイオ燃料開発の目標スケジュール】
JX日鉱日石エネルギーと日立プラントテクノロジーと共同研究。ユーグレナは油脂比率の向上や高密度培養、培養コストの削減などの課題に取り組んでいる。
年 |
経過 |
規模 |
2010年~2011年 |
要素技術基礎検討 |
屋内小規模 |
2012年~2013年 |
要素技術開発 |
屋外中規模 25平方メートルx2 |
2014年~2017年 |
要素技術実証 |
一貫生産システム 1000~10万平方メートル |
2018年~2019年 |
設備建設 |
商用規模100万平方メートル以上 |
2020年~ |
実用化 |
【ミドリムシの研究開発により目指す新規市場】
時期 |
参入市場 |
2009年 |
一般食品への提供 |
2012年 |
自社商品直販事業を本格化、自社用車向け燃料供給開始 |
2014年 |
ペットフード市場、自社化粧品事業 |
2016年 |
化成品用油市場、工業用潤滑油市場 |
2017年 |
飼料市場 |
2020年 |
バイオジェット燃料市場 |
【ペットフード事業】
2013年12月20日、ミドリムシを用いたペットフードでペット用分野に新たに参入する。近年の高齢化などを背景に、犬の健康維持のために必要な成分がバランス良く含まれる高付加価値のペットフードとして展開していくことを目指す。
【自社化粧品事業】
2014年前半に化粧品事業に本格参入。ミドリムシの粉末を加水分解したエキスを化粧品の原料として化粧品メーカー向けに供給しているが、自社ブランドで商品化。美容液や日焼け止めなどを商品化し、健康食品の流通網やインターネット通販を利用し販売する計画。