ユーグレナのバイオジェット燃料開発が設備建設のステージにシフトする。2015年12月1日、ミドリムシから搾った脂を燃料に精製する設備を横浜市に建設すると発表。2017年2月10日、千代田化工建設と工事等請負契約を締結したと発表した。投資額は58億円。生産能力は年125キロリットル。2017年6月に着工し、2018年10月に完成。2019年前半に生産を開始し、2020年に実用化する計画。
2015年2月に、米国の石油メジャーであるシェブロンとエンジニアリングのCB&Iの合弁会社CLGとバイオ燃料製造の技術供与を受ける基本合意を締結。技術供与を受け、ジェット燃料の認証を取得できる実証プラントにする。
バイオジェット燃料精製設備の建設
項目 | 内容 |
投資額 | 58億円 |
生産能力 | 年125キロリットル |
稼動 | 2019年前半まで |
実用化 | 2020年 |
【協力会社の役割】
企業 | 役割 |
ユーグレナ | ミドリムシの生産やプラント建設地の確保・設備投資・運営、バイオ燃料の製造 |
横浜市 | プラント建設・運営支援 |
千代田化工建設 | プラントの設計・調達・建設 |
伊藤忠エネクス | ユーグレナ以外のバイオ燃料原料の調達 |
いすゞ自動車 | バイオディーゼル燃料の評価・利用 |
全日本空輸 | 空港での給油などオペレーションに関わる提案 |
【米国でバイオジェット燃料向けユーグレナの培養研究】
米カリフォルニア大学サンディエゴ校と共同で実施。屋外培養を行い、得た結果で大規模培養候補地の選定などに活用する。研究期間は2015年4月8日から2015年9月末。
油を多く産生するユーグレナの選抜取得に成功
ユーグレナは、2016年5月24日、油を多く産生するユーグレナを選抜取得することに成功したと発表した。野生株より約40%油脂を多く含むという。ユーグレナが産生する油脂を利用したバイオ燃料に寄与することが期待される。
増資
2013年12月、公募増資で約76億円を調達。調達資金は43億円をバイオジェット燃料に関する研究開発の設備投資に充当する。原材料の培養から油脂の精製までできる設備を作る。
投資額 | 対象 | 時期 |
43億円 | ジェット燃料に関する研究開発・生産設備 | 2016年9月期まで |
目標スケジュール
ユーグレナは、JX日鉱日石エネルギーと日立プラントテクノロジーと共同で、バイオジェット燃料を開発している。2014年から2017年は要素技術実証期間、2018年から2019年は設備建設期間と位置付け、2020年からの実用化を目指す。
年 | 経過 | 規模 |
2010年~2011年 | 要素技術基礎検討 | 屋内小規模 |
2012年~2013年 | 要素技術開発 | 屋外中規模 25平方メートルx2 |
2014年~2017年 | 要素技術実証 | 一貫生産システム 1000~10万平方メートル |
2018年~2019年 | 設備建設 | 商用規模100万平方メートル以上 |
2020年~ | 実用化 |
市場規模
【世界の航空機向けバイオ燃料需要】
2020年 | |
航空機向けバイオ燃料 | 11兆8808億円 |
【世界の航空機需要】
2013年 | 2032年 | |
航空機需要 | 1万7740機 | 3万5000機 |
ユーグレナの業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2017年(予) | 150億円 | 11億円 | 6.9億円 | - | - | - |
2016年 | 111億円 | 9.4億円 | 6.7億円 | 134億円 | 155億円 | 86.3% |
2015年 | 59億円 | 7.2億円 | 4.6億円 | 127億円 | 145億円 | 87.2% |
2014年 | 30億円 | 1.9億円 | 1.1億円 | 104億円 | 112億円 | 92.5% |
2013年 | 20億円 | 2億円 | 4億円 | 25億円 | 32億円 | 78.2% |
ユーグレナ(ミドリムシ)活用の意義
ユーグレナは、光合成により二酸化炭素を吸収して成長する。この性質を活かすことで、発電所や製鉄所などの施設から大量に排出されている二酸化炭素を使ってユーグレナを培養することが可能になる。温暖化防止に貢献しながら、食品や化粧品、飼料、燃料など様々な分野に活用できる。