ナブテスコは、2016年度の営業利益で42億円(19.7%)の増益が計画されている。2016年度は注目される産業用ロボットの関節用途向け精密減速機などの精密機械事業ではなく、自動ドアや中国の建設機械の生産回復、構造改革などが牽引する。
事業別計画では、産業用ロボットの関節用途向け精密減速機などの精密機械事業では、売上高は57億円の増収も、営業利益は2億円の減益を計画。生産能力増強による償却負担増や新工場の立ち上げ費用が一時的に収益を圧迫する。
一方、自動ドアの成長が牽引する産業用機械事業は16億円の増益。中国など海外向け鉄道車両の需要増やMROビジネスの拡大で増益を見込む輸送用機器事業は9億円の増益。中国の建設機械の生産回復や構造改革により収支均衡を目指す航空・油圧機器事業では19億円の増益を見込んでいる。
為替感応度(為替が1円変動した時の営業利益に与える影響)を見ると、米ドルで0.91億円、人民元で0.55億円変動する。2016年度の前提為替レートは米ドルが115円、人民元が19.37円。2016年7月7日時点の為替レートは米ドルが101円、人民元が15.09円なので、約15億円の減益要因となる。
計画する42億円の増益計画のうち為替による減益影響は15億円であることから、英国のEU離脱に伴う影響で業績の下振れ懸念がある中でも増益基調は確保しそうだ。
また、注目される産業用ロボット市場は、国内製造業の人手不足や中国など新興国の人件費高騰を背景に自動化への需要が高まる見通しで、年6%の成長が期待されている。主要顧客の1社であるファナックに産業用ロボットの生産能力を倍増させる投資計画があるなど今後需要が増える期待感もある。
ナブテスコの関連情報
【2016年度の業績見通し】
2015年 | 2016年(予) | 増益 | |
売上高 | 2289億円 | 2500億円 | +211億円 |
営業利益 | 213億円 | 255億円 | +42億円 |
経常利益 | 223億円 | 270億円 | +47億円 |
純利益 | 147億円 | 189億円 | +42億円 |
【為替感応度と前提為替レート】
為替感応度 | 前提為替レート | 7月7日時点の為替レート | 影響 | |
米ドル | 0.91億円 | 115円 | 101円 | ▲12.74億円 |
人民元 | 0.55億円 | 19.37円 | 15.09円 | ▲2.35億円 |
【2016年度のセグメント別業績見通し】
セグメント | 2015年 | 2016年(予) | 増減 | |
精密機械 | 売上高 | 553億円 | 610億円 | +57億円 |
営業利益 | 90億円 | 88億円 | -2億円 | |
産業用機器 | 売上高 | 660億円 | 761億円 | +101億円 |
営業利益 | 39億円 | 55億円 | +16億円 | |
輸送用機器 | 売上高 | 609億円 | 655億円 | +46億円 |
営業利益 | 103億円 | 112億円 | +9億円 | |
航空・油圧機器 | 売上高 | 465億円 | 474億円 | +9億円 |
営業利益 | ▲19億円 | 0億円 | +19億円 |