ブロックチェーン企業の資金調達や出資などの動きが出てきている。国内最大手のビットコイン取引所を運営するビットフライヤーは、2016年4月25日、第三者割当増資で約30億円をファンドなどから調達した。フィンテック企業では国内最大級の調達となる。ブロックチェーンの研究開発などに充当される。

また、ブロックチェーンの応用に向けた実証実験も進む。住信SBIネット銀行は、ブロックチェーンを銀行取引に応用する実験に成功したと報道された。ブロックチェーン基盤にはテックビューロが提供する「mijin」を利用。約250万口座の取引を想定し、出入金や振込、残高照会などを実施したところ正常に作動。データ改ざんリスクもなかったという。

資金調達や出資の動き、実証実験の動きなどが出てきていることから、主なブロックチェーン企業の動きを整理した。


ブロックチェーン 主な関連企業の動き

スマートバリューは、ブロックチェーン技術を持つシビラに0.14億円を出資。出資割合は3.99%。シビラのブロックチェーン技術とスマートバリューの地方自治体での営業力・IoT開発力などを融合。新たな企画開発を行い、クラウドサービス事業での業容拡大を図る。

ULSグループは、仮想通貨取引プラットフォームを展開するQUOINEに1.1億円を出資。QUOINEのブロックチェーン技術とULSグループの金融分野における業務知識と高速処理技術を合わせ、仮想通貨取引や新たな金融商品・サービスを提供する。

三菱UFJ銀行と日立製作所は、シンガポールでブロックチェーン技術を活用し、電子小切手を決済する実証実験を開始。2018年の実用化を目指す。

デジタルガレージは、ブロックチェーン技術を持つカナダのブロックストリームに10億円を出資。クレジットカード会社や銀行と共同で、国内でデジタル通貨やポイントサービスの利用が可能な決済サービスの開発を進める。

アイリッジとデジタルガレージ、クレディセゾンの3社は、フィンテックの共同開発で連携を強化。アイリッジのスマートフォン総合ソリューション力とデジタルガレージのオンライン決済事業とブロックチェーンを活用した決済の研究開発、クレディセゾンの顧客基盤や決済ノウハウを組み合わせ、フィンテックソリューションの共同開発を推進する。また、アイリッジはテックビューロと提携。フィンテック関連のスマートフォン用アプリを共同開発する。

ロックオンは、テックビューロと提携。「mijin」を応用したEC用受注エンジンの実証実験を開始。ECサイトでの受注の同時集中による機能停止やWebサイト自体のダウンタイムをなくす。

SJIホールディングスもテックビューロと提携。「mijin」で銀行をはじめとする金融機関業務での適用可能性を模索。システム導入からサポート、関連システムの開発を行うことをテックビューロに提案し、フィンテック戦略を強化する。

SBIホールディングスは、ブロックチェーンの基盤技術を持つ米リップルラボやビットコインを取り扱うビットフライヤー、ビットコイン取引所の米Payward、中小企業向けオンラインファイナンスサービスの米FANDBOXに総額50億円を出資。出資先が持つ技術やノウハウをSBIグループ企業が活用できるようにする。また、みずほフィナンシャルグループと共同でブロックチェーンを活用した国際送金を実証実験。2016年内に実施し、2018年の実用化を目指す。

エスクロー・エージェント・ジャパンは、オーブと共同で実証実験。オーブのブロックチェーン技術を不動産取引に係る認証・決済システムに応用する。不動産取引における売買・決済・権利移転の効率化や金融機関・不動産事業者・専門家など不動産取引にかかる事務負担の軽減、取引の安全性を向上させる。

夢真ホールディングスは、ビットコインの決済プラットフォームを運営するBTCボックスと資本業務提携。ブロックチェーン技術に精通した技術者の育成と派遣を行う。フィンテック市場の雇用規模は2020年末までに3.5万人程度の規模に成長すると見込まれており、夢真はその30%程度の技術者の育成及び派遣を実施することを目標としている。

インフォテリアは、ミャンマーのBC Finance社とブロックチェーン技術を用いた実証実験を行うことに合意。融資システムにプライベートブロックチェーン技術を導入するための実証実験を2016年6月までに開始する予定。

リアルワールドは、ブロックチェーンなどの新技術の調査や研究、サービス展開への実証を行う子会社を設立した。

企業 提携・出資 開発
スマートバリュー シビラ クラウドサービス事業で業容拡大
ULSグループ QUOINE 仮想通貨取引や新たな金融商品・サービスを提供
三菱UFJ銀行 日立製作所 シンガポールで電子小切手の決済。2018年に実用化
デジタルガレージ 加ブロックストリーム 決済サービス
アイリッジ 決済サービス
テックビューロ スマートフォン用アプリ
ロックオン テックビューロ EC用受注エンジン
SJIホールディングス テックビューロ 金融機関業務で適用可能性を模索
SBIホールディングス ビットフライヤー 出資先が持つ技術をグループに活用
米リップルラボ
米Payward
米FANDBOX
みずほフィナンシャル 国際送金の実証実験。2018年に実用化
エスクローAJ オーブ 不動産取引での認証・決済システム
夢真ホールディングス BTCボックス ブロックチェーン技術に精通した技術者の育成と派遣
インフォテリア - ミャンマーで融資システムにブロックチェーンを導入
リアルワールド - ブロックチェーンの調査や研究


ブロックチェーン関連の動き

 【ブロックチェーンで国際送金の実証実験】
日米欧の金融大手とシンガポールの中央銀行は、2016年内にも仮想通貨技術を使った資金取引システムの実証実験を始める。三菱UFJフィナンシャルグループや米バンクオブアメリカ・メリルリンチ、欧州大手クレディ・スイス、英HSBCなど9社が組む連合体と米ベンチャー企業のR3、シンガポール取引所が実験に加わる。

実証実験では銀行間取引にどのような効果があるかを検証する。仮想通貨技術を活用した24時間対応の送金サービスを取り上げ、その後は国境を越えた取引まで検証対象を広げる。改ざんが難しいブロックチェーンの特長を活かし、マネーロンダリング監視や資金を不正に抜き取るハッキングなどの防止に活かす。

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