リプロセルは、2014年から2015年にかけて普及の基盤づくりを行い、2016年から細胞製品が大量に使用されることによる売上高の大幅な増加を見込んでいる。
自社拠点による販路拡大のみならず、買収により販路を拡大。2014年5月には3次元細胞培養を手がける英国企業Reinnervateを4億3000万円で買収。ヒト、DNA、組織、血清サンプルなどを大手企業に提供する米BioServeを1億7400万円で買収した。
造血幹細胞に関しては従来の30倍、効率的に体外増幅する技術を開発し、国内特許も成立。白血病治療などへの応用を予定している。
経営計画数値推移
リプロセルは、2013年の新規上場時の経営計画で、2014年から2015年にかけて普及の基盤づくりを行い、2016年から細胞製品が大量に使用されることによる売上高の大幅な増加を見込んでいる。
利益面では、2015年の営業利益予想3.2億円に対し、2015年5月13日の経営計画では▲5.5億円に修正。2016年から1.2億円の黒字に転換し、2017年には5.3億円と大幅な増益を見込んでいる。
また、2018年3月期には再生医療分野への進出を企画している。
【2015年5月13日】
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | |
2017年 | 31億円 | 5.3億円 | 5.9億円 | 4.4億円 |
2016年 | 23億円 | 1.2億円 | 1.8億円 | 1.2億円 |
2015年 | 15億円 | ▲5.5億円 | ▲4.9億円 | ▲4.9億円 |
【2014年11月12日】
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | |
2016年 | 28億円 | 4.4億円 | 4.8億円 | 4.2億円 |
2015年 | 18億円 | ▲0.6億円 | ▲0.08億円 | ▲0.3億円 |
2014年 | 6.9億円 | ▲2.9億円 | ▲1.8億円 | ▲1.9億円 |
【2014年5月26日】
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | |
2016年 | 23億円 | 5.1億円 | 5.6億円 | 5億円 |
2015年 | 14億円 | 0.6億円 | 1.2億円 | 1億円 |
2014年 | 7.6億円 | ▲2.9億円 | ▲1.8億円 | ▲1.8億円 |
【2013年6月26日】
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | |
2015年 | 14億円 | 3.2億円 | 3.4億円 | 2億円 |
2014年 | 7.1億円 | ▲0.2億円 | 0.1億円 | 0.1億円 |
2013年 | 4.7億円 | ▲0.8億円 | ▲0.5億円 | ▲0.6億円 |
買収による販路拡大
リプロセルは自社開発による販路拡大のみならず、買収により販路を拡大している。2014年5月には3次元細胞を手がける英国企業Reinnervateを4億3000万円で買収。ヒト、DNA、組織、血清サンプルなどを大手企業に提供する米BioServeを1億7400万円で買収した。グループ間のシナジーを追求する。
時期 | 企業 | 買収額 | 事業 |
2014年5月 | 英Reinnervate | 4.3億円 | 3次元細胞培養 |
米BioServe | 1.74億円 | ヒト・DNA・組織・血清サンプル |
独占販売ライセンス
リプロセルは、2015年9月8日、慶應義塾大学と遺伝子性の心臓病である「QT延長症候群」患者由来のiPS細胞から病態を再現した心筋細胞を独占販売するライセンス契約を結んだと発表した。QT延長症候群とは不整脈で突然死につながる可能性がある遺伝子の心臓病。QT延長症候群の病態解明や新薬開発への応用が期待される。リプロセルは2015年内の事業化を目指す
特許
リプロセルと日産化学は、2015年1月27日、共同出願していた造血幹細胞増殖法に関する特許が日本で成立したと発表した。成立した特許は骨髄及び臍帯血中に含まれる造血幹細胞を従来の30倍効率的に増幅する技術に関するもの。
臍帯血移植は白血病治療で広がっている一方、臍帯血の量が十分でない問題がある。造血幹細胞を効率的に増幅させ、臍帯血移植をより多くの患者に適用できる可能性が広がる。
技術開発
2015年6月8日、SBIファーマと共同でがん化する原因となるiPS細胞を除去する技術を開発したと発表した。
iPS細胞から心筋、神経、肝臓などの細胞を作製する際、万に1つの割合でiPS細胞が変化せず残留することがある。この残留iPS細胞は生体に移植するとがん化する恐れがある。
SBIファーマとリプロセルは、再生医療に適する安全なアミノ酸ALAを含んだ培養液中でiPS細胞から変化させた体細胞に特殊な条件で光照射することにより、容易に残留iPS細胞のみを選択除去することに成功した。今後、技術の改良を進め、事業化を目指す。
資金調達
割当先 | 調達額 | 充当先 | 希薄化 |
Evoluton Biotech Fund | 22億円 | 研究開発設備や体制構築 | |
ドイツ証券 | 25億円 | iPS細胞の培養液や細胞製品の販路拡大 | 6.6% |
【Evolution Biotech Fund】
2015年8月13日、Evoluton Biotech Fundを割当先とする新株予約権とコミット・イシューを締結し約22億円を調達。調達資金は2017年度に再生医療進出に向けた研究開発を本格化することを見据え、必要となる設備や体制構築費用に充当する。
【ドイツ銀行】
2014年6月11日、ドイツ証券を割当先とする第三者割当増資で、約25億円を調達。調達資金は、iPS細胞の培養液や細胞製品の販路拡大を目的としたM&Aなどに充当する。発行済み株式総数は6.6%増加する見通し。ドイツ証券は市場の状況に応じて徐々に株式を売却する。
業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2015年(予) | 15億円 | ▲4.9億円 | ▲4.9億円 | - | - | - |
2014年 | 5.6億円 | ▲4.5億円 | ▲4.5億円 | 70億円 | 75億円 | 93.3% |
2013年 | 4.6億円 | ▲1.3億円 | ▲1.3億円 | 51億円 | 54億円 | 94.7% |
2012年 | 3.1億円 | ▲0.2億円 | ▲0.2億円 | 2.2億円 | 3.1億円 | 78.0% |
2011年 | 2.7億円 | ▲0.2億円 | ▲0.3億円 | 2.6億円 | 3.1億円 | 84.2% |
2010年 | 2.2億円 | ▲0.4億円 | ▲0.5億円 | 3.2億円 | 3.5億円 | 85.2% |