厚生労働省は、2015年9月、テルモと大阪大学が共同研究開発する重篤心不全患者の太ももの筋肉から採取した細胞をシート状に培養し、心臓に貼る心筋シートの製造販売承認を了承した。承認期間は5年間という条件付きで、この間に使用患者の情報を基に有効性を判断する。
対象は心筋梗塞や狭心症など「虚血性心筋症」の重篤者。国内では約1000~2000人の対象患者がいるとみられる。年20~30人の利用が見込まれるという。
2016年4月から心筋シートを本格生産。細胞を冷凍保存したり培養したりする装置などを整備し、年間30例以上の生産に対応できるようにする。
また、共同開発先に大阪大学の澤芳樹教授らは、2016年3月から子どもの「拡張型心筋症」を治療する臨床試験を開始。当治療では大人では保険が適用されており、子どもでも保険が使えるようにするのが狙い。2020年頃の実用化を目指す。テルモは治験終了後、適用拡大を国に申請する予定。
テルモは、心筋の再生医療について2007年から細胞シートの開発に着手。2012年から治験を開始。2014年に完了。2014年10月に骨格筋芽細胞シートを再生医療等製品として製造販売承認を申請していた。
テルモの心筋細胞シート
項目 | 内容 |
再生医療製品 | 骨格筋芽細胞シート |
承認 | 2015年~2020年 |
対象 | 虚血性心筋症 |
対象患者 | 国内に1000~2000人 |
投資・事業構想
2016年4月から人の細胞から心筋シートを本格生産。投資額は約3億円。細胞を冷凍保存したり培養したりする装置などを整備し、年間30例以上の生産に対応できるようにする。2020年~2025年に再生医療事業を10億円~20億円規模に育てるという。
項目 | 内容 |
投資額 | 3億円 |
対象 | 心筋シートの生産設備 |
生産能力 | 年間30例以上に対応 |
再生医療事業構想 | 2020年~2025年に10億円~20億円規模 |
適用拡大
共同開発先の大阪大学の澤芳樹教授らは、2016年3月から子どもの「拡張型心筋症」を治療する臨床試験を開始。当治療では大人では保険が適用されており、子どもでも保険が使えるようにするのが狙い。2020年頃の実用化を目指す。テルモは治験終了後、適用拡大を国に申請する予定。
項目 | 内容 |
対象 | 子どもの拡張型心筋症 |
目的 | 子どもへの保険適用 |
実用化 | 2020年頃 |
テルモの業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2015年(予) | 5250億円 | 750億円 | 500億円 | - | - | - |
2014年 | 4895億円 | 707億円 | 384億円 | 5735億円 | 9920億円 | 57.8% |
2013年 | 4673億円 | 638億円 | 340億円 | 4962億円 | 8328億円 | 59.6% |
2012年 | 4022億円 | 513億円 | 470億円 | 4379億円 | 7710億円 | 56.7% |
2011年 | 3866億円 | 591億円 | 241億円 | 3525億円 | 6925億円 | 50.9% |
2010年 | 3282億円 | 569億円 | 323億円 | 3354億円 | 4200億円 | 79.8% |
【経営計画】
2016年 | |
売上高 | 5800億円 |
営業利益 | 1050億円 |