国際エネルギー機関(IEA)は、2014年6月3日、2035年までの世界エネルギー市場における投資見通しを発表した。
エネルギー供給拡大のための投資額は2013年の1兆6000億ドル(約164兆円)から2035年に2兆ドル(約205兆円)に増えると予測した。新興国での需要増を背景に石油など化石燃料の開発や輸送、精製施設への投資が増える。また、温暖化ガスの排出が少ない電源開発への投資も増え、再生可能エネルギーで6兆ドル、原子力で1兆ドルと試算している。
エネルギー効率改善のための投資額は累計で8兆ドルとなる見通し。欧州や米国、中国での環境基準の厳格化により、交通や建設分野で効率化が進む。
一方、投資が不足するリスクでは2020年代以降に北米でのシェールオイル生産増加が一巡するため、石油輸出国機構(OPEC)への依存度が高まる懸念がある。中東諸国では政情が不安定で生産設備への投資が後回しになる可能性があり、1バレル15ドルの押し上げ要因となると予測。また、現状の投資額では平均気温の上昇を2度以下に抑えるという国際的な目標を達成するには不十分で、追加で5兆ドルの投資額が必要と試算している。
{IEA 世界のエネルギー市場投資額見通し}
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2013年 |
2035年 |
エネルギー供給拡大のための投資額 |
1.6兆ドル |
2兆ドル |