オリンパスは、2013年9月4日、英国重大不正捜査局(SFO)から損失隠し問題を巡り、英国の会社法違反の疑いで訴追されたと発表した。英国には英国法人の決算に関連して、監査人に対し虚偽や後買いを与える説明を行うことを処罰する法律がある。オリンパス子会社である医療機器メーカー・ジャイラス社の2009年度及び2010年度決算関連書類が問題視されている。 今後、英国治安判事裁判所での公判を経て、英国刑事法院に送致される。
オリンパスは「水準を見積もれないため、業績への影響は不明」とし、業績への影響が明らかになった場合には、健やかに開示するとしている。 オリンパスは2013年7月に増資を行い手持ち資金を3000億円規模に膨らませている。粉飾決算事件に絡む損失で2011年には自己資本比率が4.6%に落ち込むも2012年には15.5%まで回復。公募増資後は約25%に上昇している。
主要業績指数推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2013年 | 7000億円 | 480億円 | 300億円 | |||
2012年 | 7438億円 | 130億円 | 80億円 | 1524億円 | 9600億円 | 15.5% |
2011年 | 8485億円 | 178億円 | ▲489億円 | 480億円 | 9665億円 | 4.6% |
2010年 | 8471億円 | 383億円 | 38億円 | 1155億円 | 1兆191億円 | 11.0% |
2009年 | 8830億円 | 460億円 | 525億円 | 1631億円 | 1兆1045億円 | 14.1% |
2008年 | 9808億円 | 256億円 | ▲505億円 | 1109億円 | 1兆382億円 | 10.0% |
2007年 | 1兆1288億円 | 973億円 | 546億円 | 2442億円 | 1兆2171億円 | 19.1% |
【世界シェア70%の消化器用内視鏡を含む医療セグメント推移】
世界シェア70%の消化器用内視鏡を含む「医療」セグメントは、2012年度は売上高の53%を占め、デジタルカメラ事業の約230億円の赤字を補い全体の黒字を維持する中核セグメントとなっている。
【内視鏡を含む「医療」セグメント】
売上高 | 営業利益 | 資産 | |
2012年 | 3948億円 | 870億円 | 5053億円 |
2011年 | 3492億円 | 681億円 | 4623億円 |
2010年 | 3554億円 | 716億円 | 4365億円 |
2009年 | 3507億円 | 752億円 | 4478億円 |
2008年 | 3838億円 | 754億円 | 4566億円 |
2007年 | 3533億円 | 984億円 | 5201億円 |
(注:調整前数値)
【経営目標】
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | |
2016年 | 9200億円 | 1430億円 | 1250億円 | 850億円 |
2014年 | 7600億円 | 930億円 | 700億円 | 450億円 |
2012年 | 7439億円 | 351億円 | 130億円 | 80億円 |
今後の成長投資を世界シェア約70%を持つ消化器内視鏡を含む「医療」セグメントを中心に振り向け、投資効率を改善すると共にキャッシュフローを最大化し、有利子負債を削減する。消化器内視鏡分野では、更なる基盤の強化によって安定的な収益を確保しつつ、先進国を初めとする内視鏡医療の高度化や新興国市場などでの市場拡大を収益面での成長に結びつけるとしている。