メガカリオンは、京都大学と東京大学の研究グループが設立した企業で、iPS細胞を使い止血剤生産に乗り出す。2013年内にも生産技術を確立し、2015年に臨床試験を実施。2018年にも日米での販売を目指している。

外科手術などに用いられる止血剤は現在、献血をもとに血小板を抽出して作られている。そのため、提供者からの病原体やウイルス混入などのリスクがある。また、原料の十分な確保も課題となっている。一方、iPS細胞を使えば献血に頼ることなく、止血剤の主要成分の血小板を製造することができ、献血経由のウイルス混入リスクを抑えることができる。 血小板は体内で血液成分の基になる造血前駆細胞が骨髄細胞の一種の巨核芽球になり、その巨核球がちぎれて産出される。iPS細胞から造血前駆細胞を作ることは以前からできたが、巨核芽球を大量に増殖させる方法が課題となっていた。

メガカリオンはiPS細胞から造血前駆細胞を作り、巨核芽球に2つの遺伝子を導入することで、無限に増殖するように改良した。これにより、iPS細胞由来の止血剤の大量生産が現実的になった。 血小板製剤は献血から作ったものも、iPS細胞から作ったものも、有効期限が4日程度にとどまる。しかし、この技術が完成すれば必要な時に必要な場所で培養タンクで血小板を大量生産することが可能になる。 メガカリオンは2014年3月に京都大学内で、人の治療に使える実用レベルの血小板をiPS細胞から作製する専用施設を新設するもよう。米食品医薬局(FDA)と厚生労働省の許可を得て、2016年に日米で治験を開始。安全性や効果が確認できれば2020年をめどに国内で実用化できる見通し。

 

iPS細胞で止血剤

時期 内容
2014年3月 京都大学内に血小板を作る専用施設を稼動
2014年夏 人に使えるレベルの血小板を作製
2014年内 メガカリオンとバイオ関連企業数社で企業連合を設立
2015年 臨床研究を開始
2016年 医薬品承認に向けた治験を開始
2020年 日米で製品化


資金調達

産業革新機構は、2015年3月23日、メガカリオンに追加出資したと発表した。メガカリオンが実施した25億4000万円の第三者割当増資の約17億円を引受け、残りは民間ファンドなどが出資した。メガカリオンはiPS細胞で止血剤の生産を目指している。調達資金は新薬の臨床試験に充当する。

機関 出資額 追加出資
官民ファンドの産業革新機構 11億6000億円 25億4000万円
SMBCベンチャーキャピタル
みずほキャピタル
三菱UFJキャピタル