厚生労働省は、2017年6月、再生医療に使う胚性幹細胞(ES細胞)を医療用に作製する京都大学の計画を了承した。ES細胞はiPS細胞と同様に体内の様々な臓器になる能力があり、再生医療への応用に期待が集まっているが、受精卵を壊して作るため、生命倫理上の観点から国内では基礎研究用の作製に限定。2014年に国の指針が改正され、臨床研究にも使われるようになった。

京都大学は、2017年7月、ES細胞を2018年2月にも研究機関に提供すると発表。不妊治療などで余った受精卵の提供を受け、10年間に約20種類のES細胞の株を作製。研究機関への提供により、病気の治療法の研究などに活用してもらう。


ES細胞関連企業の動き

企業 内容
アステラス製薬 米オカタを買収。加齢黄斑変性の治療技術を開発
住友化学 立体網膜を作製


【アステラス製薬】
2015年11月、米オカタ・セラピューティクスを買収。オカタ・セレピューティクスはES細胞を使い、目の難病である加齢黄斑変性を治療する技術を開発。臨床試験も始めている。


【住友化学】
2015年2月、理化学研究所と共同で、ES細胞から目の網膜の成長や再生に貢献する立体網膜を作製することに成功したと発表。細胞を培養する際に動物由来の成分を使う必要がなく、安定的に生産できるという。