女性から提供を受けた卵子に別の人の皮膚細胞の核を入れる「体細胞クローン技術」を使い、さまざまな組織に分化する胚性幹細胞(ES細胞)の作製に、米オレゴン健康科学大の立花真二研究員らの研究チームが初めて成功した。
クローン技術によるES細胞をめぐっては、2004年に韓国ソウル大学の黄禹錫元教授が作製成功を発表したが、後にねつ造と判明していた。
今回の成果は、病気の人の体細胞を使えば、遺伝子が同じで移植時に拒絶反応が起きない治療用組織を作ることが可能になるという。
研究チームは米国内で23~31歳の女性9人から有償で計126個の卵子提供を受けた。122個の卵子の核を除き、別の人の皮膚細胞の核を入れると、21個が胚盤胞と呼ばれる段階に成長。その組織の一部をとって培養すると計6個がES細胞になった。また、心臓の筋肉に分化させると脈動するのも確認した。
卵子提供が必要なことなどが課題だが、iPS細胞より遺伝子異常が少ない可能性もあるという。
患者と同じ遺伝子情報を持つ心筋や神経細胞を作り出せれば、iPS細胞と同様に、再生医療に応用することが可能になる。
一方、今回作製した胚盤胞を子宮に移植すればクローン人間が生まれる可能性があるという。しかし、動物実験の場合、胚盤胞まで育てても流産の可能性が高く、胎児の奇形も高頻度で見られる。
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