英国のEU残留の是非を問う国民投票が2016年6月23日に実施される。日本企業の多くは、EU市場への足がかりとして英国に欧州の本社機能を構える。EUへの自由な接続が阻まれれば、欧州戦略が狂いかねない。
製造業で自動車は、離脱後に英国とEUの貿易交渉が進まなければ、英国からの輸出に10%の関税がかかり、販売価格に影響しかねない。日産自動車は、北部サンダーランドで多目的スポーツ車(SUV)など年50万台近くを生産し、70~80%をEUに輸出する。ホンダは、南部スウィンドンで11万台を生産し、90%をEUに輸出する。
EU離脱は、人の移動の自由も阻むため、サービス業でも懸念がある。富士通は、欧州のIT事業の中心拠点を英国に置き、約1万2000人の社員を抱える。
国際金融の中心地であるロンドンは、日本の金融機関の拠点も多い。EUから離脱すれば、単一免許でEU域内の営業が可能な「パスポート制度」を英国拠点の銀行が利用できなくなる恐れがある。
英国のEU離脱による影響
影響 |
離脱後に英国とEUの貿易交渉が進まなければ、英国からの輸出に10%の関税がかかるようになる |
人の移動の自由を阻む |
単一免許でEU域内の営業が可能な「パスポート制度」を英国拠点の銀行が利用できなくなる |
日本企業の英国での主な事業展開
企業 | 英国事業 |
日産自動車 | SUVやEVを50万台生産し、70~80%をEUに輸出 |
ホンダ | 11万台を生産し、90%をEUに輸出 |
日立製作所 | 鉄道車両工場を保有。原発事業も展開 |
東芝 | 原発建設計画を推進 |
三菱地所 | ロンドンなどで不動産賃貸や開発事業 |
三井不動産 | 英国で大規模開発に参画 |
富士通 | 欧州ITサービスの中核拠点を英国に設置 |
サントリー | ウイスキー蒸留所などを保有 |