2016年2月10日、ニプロと札幌医科大学が共同開発を進めている脊髄損傷患者を対象とする「自己骨髄間葉系幹細胞」が、厚生労働省により再生医療等製品として初の「先駆け審査指定制度」の対象品目指定を受けることになった。先駆け審査指定制度とは、国内患者に世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指す制度。薬事承認にかかる相談・審査における優先的な取扱の対象とし、迅速な実用化を目指す。

札幌医科大学は、患者自身の骨髄に含まれる間葉系幹細胞を体外で約1万倍に増殖させ、その細胞を患者の静脈から点滴の要領で投与する再生医療を研究。2013年12月には脊髄損傷患者に対する医師主導治験(第Ⅱ相)が開始されている。

ニプロは、その基盤となる培養技術の習得や大量生産に適した培養設備、消耗品などの共同開発の強化を進めている。2014年4月、札幌医科大学の「脳梗塞及び脊髄損傷治療に用いる自己骨髄間葉系幹細胞」の特許について、再生医療品の製造販売を行うことを目的にライセンス契約を締結。10~20億円を投資し、2015年~2018年に工場を建設。2018年にも細胞製剤の生産を始める計画。札幌医科大学での医師主導治験が終了後、ニプロが承認申請を行う。


自己骨髄間葉系幹細胞の主なポイント

項目 内容
先駆け審査指定制度に指定 脊髄損傷患者を対象とする自己骨髄間葉系幹細胞
ニプロの計画 2015年~2018年に工場建設
投資額 10~20億円
2018年に細胞製剤の生産開始


間葉幹細胞とは

間葉系幹細胞とは、神経や血管などに分化する能力を持った幹細胞のことで、再生医療では自己の間葉系幹細胞が損傷した脳神経や血管、中枢神経を修復することで、脳梗塞や脊髄損傷の後遺障害に伴う神経症候や機能障害の改善、要介護度の改善が期待されている。


ニプロの業績推移

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2017年(予) 3925億円 291億円 180億円 - - -
2016年 3596億円 231億円 113億円 1764億円 7528億円 22.1%
2015年 3666億円 146億円 197億円 1755億円 7088億円 23.4%
2014年 3250億円 196億円 124億円 1788億円 6953億円 24.1%
2013年 3007億円 119億円 28億円 1359億円 6196億円 20.2%
2012年 2410億円 143億円 102億円 1287億円 5793億円 20.7%
2011年 2120億円 119億円 45億円 1139億円 4996億円 22%
2010年 1959億円 133億円 24億円 1090億円 4765億円 22.4%
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