資生堂の銘柄診断

資生堂は、2016年2月3日、大阪府に新工場を建設すると発表した。中・高価格帯の中心ブランドを生産するスキンケア化粧品のマザー工場の役割を担う。投資額は約400億円。生産能力は50%増。2018年度に着工し、2020年度に稼働する見通し。

生産工場で発生する製造原価だけでなく、市場までのリードタイムや在庫、原材料調達など様々な要素を加味し、どこでどの商品を作るべきかを判断・決定するなど、柔軟に対応できる体制づくりに取り組む。より人間に近い作業ができる双腕型など最先端のロボット技術を生産ラインに取り入れ効率化。人員を増やさずに生産能力を50%引き上げる。

また、国内外向けの物流機能と商品保管・出荷機能を併せ持つ物流拠点「関西統合センター」を併設する。工場・物流センター・商品センターの各機能別に分かれていた物流フローを統合し、原材料の入出庫・保管、工場で生産した商品の保管・出荷までを一体で行う。ロボットを活用した商品の仕分けやピッキング、保管が行えるシステムも採用。ドラッグストアなどへの配送を1週間から1日に短縮する。


資生堂 大阪府に新工場

項目 内容
投資額 400億円
対象 大阪府に新工場
着工 2018年度
稼働 2020年度


【想定効果】

項目 内容
生産能力 人員を増やさず50%増
配送 1週間から1日に短縮


資生堂の営業利益率は向上するか?

資生堂の2015年度の純利益見通しは、決算期の変更に伴う9ヶ月決算で130億円。12ヶ月では単純計算で168億円となる。大阪府の新工場への投資は約400億円で、純利益見通しの2.3倍の大型投資となる。

資生堂は営業利益率が低下傾向にある。2013年の6.5%から2014年には3.5%、2015年見通しでは3.9%となっている。一方、花王の化粧品部門は2013年の4.2%、2014年は4.8%と上昇傾向。コーセーは2013年の9.9%から2015年の見通しでは14.6%と大幅な上昇傾向にある。

資生堂は今回の大型投資により、人員を増やさずに生産能力を50%増やすことや配送の短縮から効率を高め、コストを削減。営業利益率の向上につながるかが注目される。


【主要化粧品会社の営業利益】

企業   2013年 2014年 2015年(予想)
資生堂 営業利益 496億円 276億円 300億円
営業利益率 6.5% 3.5% 3.9%
コーセー 営業利益 189億円 226億円 350億円
営業利益率 9.9% 10.8% 14.6%
花王 営業利益 239億円 284億円 -
営業利益率 4.2% 4.8% -

※資生堂 2015年度予想は9ヶ月決算