2016年発表の国際通貨基金(IMF)の世界全体の成長率見通し。発表数値の推移やIMFによる各国・地域の分析内容などのポイントを整理。


IMFの世界経済見通し 2016年発表

  2016年 2017年
発表月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月
世界全体 3.4% 3.2% 3.1% 3.1% 3.6% 3.5% 3.4% 3.4%
米国 2.6% 2.4% 2.2% 1.6% 2.6% 2.5% 2.5% 2.2%
日本 1.0% 0.5% 0.3% 0.5% 0.3% ▲0.1% 0.1% 0.6%
ユーロ圏 1.7% 1.5% 1.6% 1.7% 1.7% 1.6% 1.4% 1.5%
新興・途上国 4.3% 4.1% - - 4.7% - - -
中国 6.3% 6.5% 6.6% 6.6% 6.0% 6.2% 6.2% 6.2%
ブラジル ▲3.5% ▲3.8% ▲3.3% ▲3.3% 0.0% 0% 0.5% 0.5%
ロシア ▲1.0% ▲1.8% ▲1.2% - 1.0% 0.8% 1% -


【10月】
2016年10月4日、世界経済の成長率を2016年は3.1%、2017年は3.4%に据え置いた。「不確実性が高く、低成長が続く懸念がある」とした。

日本は2016年は0.3%から0.5%、2017年は0.1%から0.6%に上方修正した。消費増税の延期などが主因。「中期的には人口減が経済成長を抑制する」との懸念を表明。日銀が掲げる物価上昇率2%の目標達成を後押しするため、企業に賃上げを促す所得政策の拡充を求めた。また、消費税率の段階的な引き上げも課題に挙げた。

米国は2016年は2.2%から1.6%、2017年は2.5%から2.2%と設備投資が伸び悩み下方修正した。
 

【7月】
2016年7月19日、2016年の成長率を3.2%から3.1%に下方修正した。英国の欧州連合(EU)離脱決定で不透明感が増加。世界貿易の伸びは▲0.4ポイントの2.7%とした。IMFは「成長期待の低下が消費・投資の減退につながり、潜在成長率そのものを押し下げている」とした。また、英国のEU離脱の影響で成長率は2.8%まで減速する可能性があると警告している。

日本の2016年の成長率は0.5%から0.3%に下方修正。2017年は消費増税の延期が上振れ要因になるものの、円高の影響が続けば0.1%にとどまる見通し。ユーロ圏の2016年の成長率は1.5%から1.6%に上方修正。2017年は1.6%から1.4%に下方修正した。英国の2016年の成長率は1.9%から1.7%に、2017年は2.2%から1.3%に下方修正した。
 

【4月】
2016年4月12日、2016年の成長率を3.4%から3.2%に下方修正した。新興国の景気減速で世界的に貿易や投資が鈍化。世界貿易の伸びは▲0.3ポイントの3.1%とした。IMFは「長期的な景気停滞に落ち込むリスクがある」とした。

日本の2016年の成長率は1%から0.5%に下方修正。アジア向けの輸出減速や個人消費が停滞する。また、2017年度は消費増税に踏み切れば▲0.1%と主要国で唯一マイナス成長に転落する見通し。

 
【1月】
2016年1月19日、2016年の成長率を3.6%から3.4%に下方修正した。中国の減速で世界貿易が減少。資源価格も下落するリスクを指摘した。2017年は緩やかに回復する見通しも、新興国の減速や原油安などを克服できなければ「世界経済は頓挫しかねない」とした。

日本は2016年は緩やかな回復を見込むが、2017年は予定する消費増税の影響を織り込んだ。米国は雇用改善で成長を見込むが、輸出減退などで下方修正した。


2015年発表

  2015年 2016年
発表月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月
世界全体 3.5% 3.5% 3.3% 3.1% 3.7% 3.8% 3.8% 3.6%
米国 3.6% 3.1% 2.5% 2.6% 3.3% 3.1% 3.0% 2.8%
日本 0.6% 1.0% 0.8% 0.6% 0.8% 1.2% 1.2% 1.0%
ユーロ圏 1.2% 1.5% 1.5% 1.5% 1.4% 1.6% 1.7% 1.6%
新興・途上国 4.3% - 4.2% 4.0% 4.7% - 4.7% 4.5%
中国 6.8% 6.8% 6.8% 6.8% 6.3% 6.3% 6.3% 6.3%
インド 6.3% - 7.5% 7.3% 6.5% - 7.5% 7.5%
ブラジル 0.3% ▲1.0% - ▲3.0% 1.5% 1.0% - ▲1.0%
ロシア ▲0.3% ▲3.8% ▲3.4% ▲3.8% ▲1.0% ▲1.1% 0.2% ▲0.6%