伊藤忠商事は、2015年1月20日、タイCPグループと中国CITIC社傘下のCITIC Limitedに出資すると発表した。伊藤忠商事とCPグループが50%ずつ出資するCTBが2015年8月までにCITIC Limitedの普通株式及び優先株式を総額803億香港ドル(約1兆2040億円)で取得する。保有割合は約20%。
CITIC Limitedは中国国内で総合金融サービスを提供している。幅広い事業を展開する伊藤忠商事と金融サービスのCITIC Limited、中国、アジアで強固な非資源分野の事業基盤を有するCPグループで中国・アジア市場を中心に幅広い事業領域でシナジーの最大化を追求。中国や東南アジアなどで食料や資源開発、アパレル事業の店舗開発、電子商取引など金融サービスでも連携する方針。
伊藤忠商事 中国国有大手に出資
項目 | 内容 |
企業 | CTB(伊藤忠商事50% CPグループ50%) |
投資額 | 1兆2040億円 |
対象 | CITIC Limited株式及び優先株 保有割合20% |
事業 | 中国で総合金融サービス |
完了 | 2015年8月 |
【CITIC Limited】
売上高 | 税引前利益 | 純利益 | 株主資本 | 総資産 | |
2013年 | 6兆1462億円 | 1兆3710億円 | 7264億円 | 5兆5766億円 | 79兆8256億円 |
2012年 | 1兆3990億円 | 1364億円 | 1043億円 | 1兆1808億円 | 3兆7107億円 |
2011年 | 1兆4533億円 | 1947億円 | 1384億円 | 1兆1251億円 | 3兆4460億円 |
※2013年度、中国政府指導部による国有企業改革のもと、CITICグループの企業再編。CITIC pacificが2013年8月に取得した旧CITIC Limitedの財務数値を合算した数値を記載。
CITICとの協業
【病院】
2016年9月20日、伊藤忠と中国CITICグループのCITICメディカルは、医療・健康関連事業における合弁会社設立に向けての意向書を締結した。半年ほど収益性などを調査し、合弁会社を設立する。伊藤忠側の投資額は数百億円。CITIC側が5割強、伊藤忠が残りを出資する方向。
CITICメディカルは、広東省や山西省で総合病院など約7カ所の医療施設を運営している。このうち複数の施設を合弁会社が買収し、移管する見通し。伊藤忠は医療技術の研修のための日本の病院を紹介したり、医療機器を供給したりして、効率的な経営を支援する。新たに病院買収も視野に入れ、事業規模を広げる。
中国では高齢化の進展や所得水準の向上で生活習慣病の患者が増えるなど、医療・健康分野の需要が拡大している。
項目 | 内容 |
投資額 | 数百億円 |
事業 | 医療技術の研修や医療機器を供給し、効率的な経営を支援 |
新たに病院買収も視野 |
【インターネット通信販売】
伊藤忠商事とタイCPグループ、中国CITICは、中国通信、上海信投と組み、中国で日本製品のインターネット通信販売に参入。2015年秋に事業を開始する。また、報道では現地企業の買収も考えており、約600億円を投資するもよう。
経済特区を活用し、日本製品を約40%安く提供する体制を整える。中国のクロスボーダー電子商取引市場は、2013年の1.5兆円から2018年に20兆円まで拡大が見込まれるとしている。
2013年 | 2018年 | |
中国電子商取引市場 | 1.5兆円 | 20兆円 |
【アパレル】
伊藤忠商事と中国中信集団(CITIC)は、2015年4月27日、中国の波司登の株式20%を取得すると発表するも、2015年6月中旬に開かれた波司登の臨時株主総会で否決された。伊藤忠商事や波司登は「業務上の提携は引き続き検討する」としている。
波司登は中国でダウンウェアの製造・販売業を展開。中国全土に約1万店、ダウンジャケット市場シェア40%を保有している。売上高は1200億円規模。
伊藤忠商事と中国中信集団(CITIC)は、波司登の株式20%を約300億円で取得。伊藤忠は波司登と伊藤忠が保有する複数ブランドを波司登に導入することでも合意し、波司登の販売網を通じて販売。CITICは店舗でのカード決済機能の導入やポイント付与などの金融サービスで協力。波司登の売上ベースで2018年に250億円、2020年に400億円規模のシナジー創出を目指す計画だった。
項目 | 内容 |
SPC | 伊藤忠70% |
CITIC30% | |
投資額 | 300億円 |
対象 | 波司登株式20% |
事業 | 中国でアパレル製造・販売 |
伊藤忠の経営戦略
今後は手持ち資産の入れ替えを進める方針。中国では大型投資を見合わせ。1年から1年半は様子を見る。当面は中国移動などと取り組む上海でのインターネット通販など既存案件に集中する。配当は2016年~2018年は最低保障として5円ずつ増やす。
項目 | 内容 |
資産 | 手持ち資産の入れ替えを進める |
中国 | 2016年~2017年半ばまで投資を見合わせ。当面は既存案件に集中する |
配当 | 2016年~2018年は最低保障として5円ずつ増やす |
伊藤忠の業績推移
収益 | 税引前利益 | 純利益 | 株主資本 | 総資産 | 株主資本比率 | |
2016年(予) | 5兆円 | 4630億円 | 3500億円 | - | - | - |
2015年 | 5兆835億円 | 3227億円 | 2403億円 | 2兆9136億円 | 8兆363億円 | 27.3% |
2014年 | 5兆5914億円 | 4185億円 | 3005億円 | 2兆4332億円 | 8兆5607億円 | 28.4% |
売上総利益 | 税引前利益 | 純資産 | 株主資本 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2013年 | 1兆450億円 | 3607億円 | 2453億円 | 2兆441億円 | 7兆7848億円 | 26.3% |
2012年 | 9457億円 | 3796億円 | 2588億円 | 1兆7189億円 | 7兆1985億円 | 23.9% |