米大統領選が2016年11月8日に行われる。民主党(ヒラリー・クリントン氏)、共和党(ドナルド・トランプ氏)の政策を把握するため、焦点となる主な公約・主張をまとめた。
民主党・共和党の主な公約・主張
民主党(クリントン氏) | 共和党(トランプ氏) | |
TPP | TPPに反対する。選挙後も大統領として反対する | TPPには署名しない |
貿易 | 何年も前に交渉した貿易協定は見直すべき | 労働者を傷つけ、自由と独立を軽んじる貿易協定には署名しない |
経済 | 企業と富裕層への増税 | 所得税を39.6%から25%、法人税を35%から15%に引き下げ |
最低賃金を2倍強の時給15ドルに引き上げ | ||
米軍駐留 | アジア太平洋の同盟国と関係強化 | 膨大な損失とともに守っている国々には相応の負担を求める |
日米同盟を強化し「歴史的な責務を果たす」 | 日本に駐留費用の全額負担を求める | |
核問題 | 北朝鮮への非合法な核やミサイル開発の計画を破棄させる | イラン核合意は最悪の取引の1つ |
イランとの核合意を指示 | ||
移民 | 不法移民に市民権獲得の道を開く移民制度改革 | メキシコとの国境沿いに壁を建設する |
テロに屈した国から移民の受け入れを即時停止する |
民主党 ヒラリー・クリントン氏
オバマ政権が掲げるアジア重視を継続する。
【TPP】
2016年8月11日、TPPについて「私は反対する。選挙後も大統領として反対する」と明言した。「雇用を減らし賃金を下げる全ての貿易協定を止める」とした。
2016年7月の大統領候補指名の受託演説では米国内の雇用を重視する方針を強調。「雇用を支えず、賃金を上昇させず、安全保障を改善しない貿易協定に反対する。これらはTPPを含めた全貿易協定に適用しなければならない」と明記。TPPへの慎重姿勢を打ち出していた。
【貿易】
「米国の雇用を支える通商政策が必要だ」と指摘。大企業の利益を押し上げた一方で、労働者の権利などを損なってきたとして「何年も前に交渉した貿易協定は見直すべきだ」と表明した。また、中国の不公正な貿易慣行や為替操作、サイバー攻撃などに立ち向かう姿勢も打ち出した。
【経済】
米経済再生の柱として格差是正策を掲げた。「企業の海外留保資金に課税する」と盛り込み。企業と富裕層への増税を明記した。また、最低賃金を現在の2倍強となる時給15ドルに上げる。
【米軍駐留】
日本、韓国、オーストラリアなど「アジア太平洋の同盟国との関係深化」を明記。日本については「歴史的な責務を果たす」とし、日米同盟を強化する方針。
【核問題】
国際社会の警告を無視して核や弾道ミサイル発射の実験を続ける北朝鮮には「民主党は米国とその同盟国を守り、中国に北朝鮮を抑制するよう働きかける。北朝鮮に非合法な核やミサイル開発計画の破棄しか選択肢がないことをはっきりさせる」とした。また、イランとの核合意を支持するとした。
【南シナ海】
「地域の制度と規範を強化し、航行の自由を守るために同盟国やパートナーと協力する」とし、人工島造成や軍事化を進める中国を牽制した。
共和党 ドナルド・トランプ氏
「グローバル主義よりアメリカ主義が我々の信条になる」とし、米国の国益を最優先する。
【TPP】
環太平洋経済連携協定(TPP)に「署名しない」と明言。米国の製造業を撲滅させるだけでなく、米国を外国の支配下に置くとした。
【貿易】
「米国の労働者を傷つけ、自由と独立を軽んじるいかなる貿易協定にも決して署名しないと誓う」「中国の法外な知的財産権の侵害や違法な不当廉売、為替操作を阻止する。中国やその他の国とのひどい貿易協定は再交渉する」とした。
北太平洋条約機構(NATO)については「時代遅れ。テロに対処できず、多くの加盟国の国防費は目標額に達していない。米国が負担している」としている。
【経済】
個人所得税と連邦法人税を大幅に減税。所得税は39.6%の最高税率を25%に引き下げ。法人税は35%から15%に引き下げる。
【米軍駐留】
日韓などを念頭に「我々が膨大な損失とともに守っている国々には相応の負担を求める」在日米軍については「日本に駐留費用の全額負担」を求めるとしている。
【核問題】
イラン核合意は「最悪の取引の1つとして歴史に残る」とした。
【移民】
不法移民や暴力、薬物の流入を防ぐためにメキシコとの国境沿いに壁を建設する。また、テロに屈した国から移民の受け入れを即時停止する。