政府は、訪日外国人数を2020年に4000万人、2030年に6000万人。訪日観光客の消費額を2020年に8兆円、2030年に15兆円に増やす目標を決めた。これまでの成長戦略では、訪日外国人を2000万人、訪日外国人の消費額を2030年に4.7兆円に増やす目標を掲げていたが、大幅に引き上げる。

また、都市部を中心に足りなくなっている宿泊施設を増加させるため、政府の規制改革会議は、民泊で現在禁止されている住宅での営業を容認。届け出制とし、住宅提供者ら施設管理者には宿泊者名簿の作成や衛生管理を義務づけ。営業日数の上限は年90泊の英国や年60泊のオランダなどを参考に、90日~180日で調整が進む見通し。2016年度中の法整備を目指す。

今後は民泊市場の拡大が見込まれ、多くの企業が本格参入を始めることが想定される。民泊世界最大手の米エアビーアンドビーは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と日本事業の本格展開に向け事業提携した。エボラブルアジアは、民泊運営企業に対して、国内航空券やJR、高速バスの商材をOEMで提供する。比較.comは、運営する宿泊予約サイトを一元管理できる「手間いらず」と中国の民泊仲介サイト「自在客」とのシステムを連携。中国や台湾などからの個人旅行客を獲得できる環境を整備する。メタップスは、民泊事業への参入・投資を検討している企業に対し、データ解析サービスを提供。国内3万件以上の民泊データを解析し、利用企業は検討地域の稼働率や賃料などの運営状況を把握できるようにする。


民泊関連企業の動き

企業 内容
米エアビーアンドビー CCCと日本事業で提携
エボラブルアジア 民泊運営企業に商材をOEM提供
比較.com 「手間いらず」と中国の民泊仲介サイト「自在客」と連携
メタップス 稼働率や賃料などを把握できるデータ解析サービス


政府の訪日外国人の拡大目標

 【訪日外国人数】

  2015年 2020年 2030年
訪日外国人数 1973万人 4000万人 6000万人


【訪日観光客の消費額】

  2015年 2020年 2030年
消費額 3兆4771億円 8兆円 15兆円


2015年までの訪日外国人数の推移

2015年は47%増の1973万人。円安を追い風に増加。韓国は45%増の400万人、台湾は30%増の367万人、中国は2倍の499万人だった。中国は2015年1月に有効期間中に何度でも訪日できる「数次ビザ」の発給要件を緩和したことも寄与した。

2014年は34%増の1467万人。韓国は23%増の302万人、台湾は25%増の300万人、中国は86%増の285万人だった。東南アジアを中心にビザ発給要件を緩和。2014年10月からは消費税免税制度を拡充した。

  2014年 2015年
訪日外国人 1467万人 1973万人
韓国 302万人 400万人
台湾 300万人 367万人
中国 285万人 499万人

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