エーザイは、2020年度に営業利益を対2015年比で2倍以上に引き上げることを計画している。抗がん剤「レンビマ」など重点販売する4つの新製品の伸びや米国・中国で年平均10%以上の増収を見込んでいる。そこで、重点販売する4つの新製品の戦略と上市目標をまとめた。
抗がん剤「レンビマ」では、ピーク時のグローバルなポテンシャルセールスが1200億円に達すると想定している。標的となる分子情報をもとに対象となるがん腫を選択し、様々ながん腫で臨床試験を展開。甲状腺がんで開発が先行。対象となる患者数は日米欧で8000人強と推定されている。また、今後適応拡大が予定されている腎細胞がんでは、日米欧及び中国で9万2500人強の患者が対象になるとしている。
抗がん剤「ハラヴェン」では、乳がん患者への貢献拡大と適応症の拡大で、グローバル売上収益として1000億円レベルの達成を目指す。
抗てんかん剤「Fycompa」では、てんかん領域を重点疾患領域と位置づけ、複数の治療オプションを提供することで治療に貢献する。てんかんの患者数は米国が290万人、欧州が600万人、日本が100万人、世界中で約6000万人と推定されている。
肥満症治療剤「BELVIQ」では、将来的に米国だけでなく、グローバルに展開するための準備を進めている。2013年11月にライセンスを受けているアリーナ社と契約を変更。米州21カ国から欧州、日本、中国を含む全世界に範囲を拡大。ライセンス地域での承認取得後は、エーザイが独占販売権を有する。肥満症の患者数は、米国は8800万人、欧州は5200万人、日本は2700万人、中国は7700万人、ラテンアメリカは9400万人と推定されている。
4つの新製品の売り上げ収益伸び率見通し
製品 | 売上収益 |
抗がん剤「レンビマ」 | 65%増 |
抗がん剤「ハラヴェン」 | 14%増 |
抗てんかん剤「Fycompa | 55%増 |
肥満症治療剤「BELVIQ」 | 57%増 |
上市スケジュール
【抗がん剤「レンビマ」】
適応 | 地域 | 上市目標 |
腎細胞がん2ndライン | 米国・欧州 | 2016年度 |
日本 | 2019年度 | |
腎細胞がん1stライン | グローバル | 2017年度 |
胆道がん2ndライン | グローバル | 2020年度 |
子宮内膜がん | 米国・欧州 | 2020年度以降 |
【抗がん剤「ハラヴェン」】
適応 | 地域 | 上市目標 |
軟部肉腫 | 欧州 | 2016年度上期 |
PEGPH20との併用医療 | グローバル | 2020年度以降 |
【抗てんかん剤「Fycompa」】
適応 | 地域 | 上市目標 |
部分てんかん・全般てんかん | 日本 | 2016年度 |
経口懸濁液 | 米国・欧州 | 2016年度 |
単剤療法 | 米国 | 2016年度 |
欧州 | 2017年度 | |
部分てんかん小児適応 | 米国・欧州・日本 | 2018年度 |
部分てんかん | 中国 | 2019年度 |
レノックス・ガストー症候群 | 米国・欧州・日本 | 2020年度 |
【肥満症治療剤「BELVIQ」】
適応 | 地域 | 上市目標 |
1日1回製剤 | 米国 | 2016年度 |
心血管アウトカム試験 | - | 2018年度 |
肥満症 | 欧州 | 2020年度 |
日本 | 2020年度以降 |
エーザイの経営計画
2015年 | 2020年 | |
売上収益 | 5565億円 | 8000億円以上 |
営業利益 | 510億円 | 2倍以上 |
純利益 | 370億円 | 2倍以上 |
配当 | 150円を維持 |