JFEスチールは、2015年7月30日、台湾プラスチックグループがベトナムで進行中の製鉄所プロジェクトに参加すると発表した。投資額は270億円。5%の資本参加を行う。
ベトナムの製鉄所プロジェクトでは、ベトナムで初となる大規模一貫製鉄所を建設中。総投資額は約105億ドル(約1兆3000億円)。粗鋼生産量は年700万トン。2015年から高炉や熱間圧延設備、製鋼設備などを順次稼動。2016年に本格生産を開始する計画。
項目 | 内容 |
投資額 | 270億円 |
対象 | ベトナム製鉄所プロジェクトの5% |
粗鋼生産量 | 年700トン |
稼動 | 2015年秋から順次稼働。2016年に本格生産 |
ベトナム製鉄所の懸念材料とJFEの見方
・ベトナムの製鉄所プロジェクトでは、年700万トンの粗鋼生産能力に対し、建設コストが高いとの指摘がある。製鉄所建設の相場は粗鋼生産能力1トンあたり1000ドル。一方、ベトナムの製鋼所プロジェクトは1トンあたり1857ドル。
これに対し、JFEスチールは今後年2000万トン規模にする設備増強計画まで含めれば、競争力を十分に備えた製鉄所になるとの見方。なお、JFEより前に参画の打診を受けた新日鐵住金は検討の末断ったもよう。
・中国製の供給過剰で鋼材価格は低迷している。また、中国の安い鋼材がアジアを中心に出回るなか、輸出しても利益を確保しにくい状況が続くとの指摘がある。
これに対し、JFEスチールは中国政府は環境対策の目的で設備の統廃合を進める。製鉄所の淘汰が進むことで需給バランスの改善に期待するとの見方。
項目 | 懸念材料 | JFEの見方 |
建設コスト | 相場より85%高い建設費 | 年産2000万トンへの増強計画で競争力あり |
鋼材価格 | 中国製の供給過剰で低迷 | 中国で統廃合が進み需給バランスは改善する |
粗鋼生産量と主要資源価格推移
【粗鋼生産量推移】
2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | |
粗鋼生産量 | 1億646万トン | 1億730万トン | 1億1059万トン | 1億1066万トン |
【原料炭価格推移】
原料炭 | 1-3月 | 4-6月 | 7-9月 | 10-12月 |
2015年 | 117ドル | 109ドル | 93ドル | 89ドル |
2014年 | 143ドル | 120ドル | 120ドル | 119ドル |
【鉄鉱石価格推移】
鉄鉱石 | 1-3月 | 4-6月 | 7-9月 | 10-12月 |
2015年 | 70ドル | 62ドル | 52ドル | 51ドル |
2014年 | 122ドル | 118ドル | 99ドル | 85ドル |
JFEホールディングスの業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2014年 | 3兆8503億円 | 2310億円 | 1393億円 | 1兆9900億円 | 4兆6394億円 | 41.8% |
2013年 | 3兆5557億円 | 1736億円 | 1023億円 | 1兆7459億円 | 4兆2417億円 | 40.1% |
2012年 | 3兆1891億円 | 522億円 | 395億円 | 1兆5967億円 | 4兆1075億円 | 37.9% |
2011年 | 3兆1665億円 | 529億円 | ▲366億円 | 1兆4563億円 | 4兆72億円 | 35.3% |