アンジェスMGは、2015年1月14日、エボラ出血熱対策医薬品として抗血清製剤の開発を開始すると発表した。米Vical社から日本国内の独占的開発販売権を取得。2015年1~3月に予備的な試験に着手する。
抗血清製剤は感染予防効果を得るのに時間が必要なワクチン療法とは異なり、既にウイルスに感染した患者の治療に使用する。ウマなどの動物に病原体や毒素を投与してから血清を精製し、得られた抗体を含む成分を患者に投与する。
アンジェスMGが開発する抗血清製剤は、罹患者の治療用や感染リスクの高い医療従事者などの携帯用など緊急対策用の医療薬との位置づけを想定している。
アンジェスMG エボラ血清剤の開発
項目 | 内容 |
権利 | 日本国内の独占的開発販売 |
開発 | 15年1~3月に予備的試験に着手 |
用途 | 罹患者の治療用 医療従事者の携帯用 緊急対策用 |
【予備的試験で結果良好】
2015年6月15日、エボラ出血熱対策医薬品としての抗血清製剤の予備的試験を実施し、良好な結果が得られたと発表した。2015年3月よりDNAワクチンの投与による抗体の産生を検証する実験を実施。ウイルスタンパク質にタイする抗体価が有意に上昇することを確認した。
エボラ出血熱の治療薬開発
【血清】
世界保健機関(WHO)は、2014年10月21日、エボラ出血熱から回復した患者の血清を治療に使う体制をリベリアで整備すると発表。エボラ出血熱から回復したヒトの血液に含まれる抗体を輸血などで別の患者に注入すれば、理論上ウイルスに対する免疫を強めることができる。感染者の増加に伴い回復した人も増加。抗体を持つ血液は米国やスペインで治療に使われており、西アフリカでも本格導入する。
年 | 月 | 内容 |
2014年 | 10月~ | リビアでエボラから回復した患者の血清を治療に使う体制を整備 |
【ワクチン・薬】
英グラクソ・スミスクラインやカナダ公衆衛生庁が開発したワクチンが2015年初めにリベリアとシエラレオネなどで数千人規模の治験を実施。ジョンソン・エンドジョンソンは2015年1月に開発中のワクチンの臨床試験を開始。2015年中に100万回分の生産を目指す。富士フイルムHDのインフルエンザ治療薬アビガンが2014年11月からギニアで臨床試験開始。
企業 | 内容 |
英グラクソ | 15年初めにリベリアとシエラレオネなどで数千人規模の治験 |
米J&J | 15年1月に臨床試験開始。15年中に100万回分を生産 |
富士フイルムHD | アビガンが治験 |
業績
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2015年(予) | 4.5億円 | ▲58億円 | ▲58億円 | - | - | - |
2014年 | 9億円 | ▲23億円 | ▲23億円 | 77億円 | 81億円 | 93.2% |
2013年 | 4.9億円 | ▲13億円 | ▲14億円 | 35億円 | 39億円 | 86.4% |
2012年 | 4.4億円 | ▲17億円 | ▲17億円 | 17億円 | 22億円 | 70% |
2011年 | 2.4億円 | ▲17億円 | ▲18億円 | 32億円 | 38億円 | 79.2% |
2010年 | 2.8億円 | ▲19億円 | ▲19億円 | 42億円 | 50億円 | 82.7% |
【医薬品開発状況】
製品・プロジェクト | 適応症 | 地域 | 開発段階 | 提携企業 |
HGF遺伝子治療薬 | 重症虚血肢 | 日本 | 第Ⅲ相準備 | 第一三共 |
欧米 | 田辺三菱製薬 | |||
虚血製心疾患 | 日本 | 臨床準備 | 第一三共 | |
米国 | 第Ⅰ相 | - | ||
NF-κBデコイオリゴ | アトピー性皮膚炎 | 日本 | 第Ⅲ相準備 | 塩野義製薬 |
椎間板性腰痛症 | 日本 | 前臨床 | 日本臓器製薬 | |
PTAバルーンカテーテル | 血管再狭窄予防 | 日本 | 臨床 | メディキット |
機能性ペプチド | 創傷 | - | 応用研究 | 森下仁丹 |