エナリス(6079)は、エネルギーの効率的利用をテーマに需給管理を核として電力取引、エネルギーマネジメント、電力流通情報サービスを提供している。使用電力量の監視や機器の遠隔自動制御を可能とするシステム(BEMS)の導入や火力発電、風力発電など複数の電源から最適な電力購入の形態を提案することで、電力料金を削減。また、新電力(PPS)向けに新電力に義務づけられている業務を24時間365日代行する業務代行を請け負う。 太陽光発電や燃料電池などの普及によって、大規模発電所から一般家庭への一方通行の供給形態から、各一般家庭で発電・蓄電・放電・買電・買電をマネジメントする必要が発生し、エネルギーの川下間の融通が求められる分散型エネルギー社会に変化するとしている。電球や全ての機器一個単位までIPが割当られ、需要側の自動応答のマネジメント技術を構築することで、社会全体で効率よくエネルギーを利用するサービスを提供する方針。
主要業績指数推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2013年 | 101億円 | 6億円 | 4億円 | 26億円 | 60億円 | 42.3% |
2012年 | 51億円 | 5億円 | 4億円 | 7億円 | 20億円 | 37.7% |
2011年 | 14億円 | 3億円 | 2億円 | 3億円 | 9億円 | 36.5% |
事業内容
【PPS向け業務代行】
PPS(新電力)は需要家に安定した電力を供給するため、30分ごとに電力供給量と需要量を契約電力量の3%以内に納めなければならない。エナリスでは需要予測、電力調達予定量の把握などPPSに義務づけられている業務を24時間365日代行するPPS業務代行を請け負っている。また、導入に必要なシステムを自社開発し提供しているため、PPS設立から運用までを効率的に行うことができる。
【需要家向けエネルギーマネジメントサービス】
企業向けにビルの使用電力量の監視や機器の遠隔自動制御を可能とするシステム(BEMS)の販売を行い、電力の見える化と遠隔自動制御による節電や省エネ、電力代理購入サービスを行っている。
【電力卸売事業】
独立系発電事業者からエナリスが電力を調達し、PPSや日本卸電力取引所などに販売。
【電源開発事業】
発電所への投資を行い、PPSに電力を販売して収益を上げる売電事業と、発電事業を行いたい事業者向けに、発電所を開発・建設して販売して収益を上げる事業とがある。 {主な販売先} 2012年は関西電力と日本卸電力取引所への売上高で61.1%を占めており、特定の取引依存度が高い状況にある。また、電力調達でも特定の発電事業者1社からの調達割合が電力調達のほぼ全量を占めており、仕入依存も高い。
販売先 | 2012年 | 2011年 | ||
売上高 | 割合 | 売上高 | 割合 | |
関西電力 | 26億円 | 51.1% | 8.5億円 | 57.6% |
日本卸電力取引所 | 5.3億円 | 10.5% | 5.6億円 | 37.9% |
今後の方針
エネルギー市場の活発化を受けて成長を続けるため、調達面では再生可能エネルギーの調達先を増やす。販売面では使用電力量の監視や機器の遠隔自動制御を可能とするシステム(BEMS)の導入を進めると共に、電力売電や発電設備建設など最適なエネルギー選択を合わせて、エネルギーコスト削減のコンサルティングを提供していく方針。 そのため、社内では人員増加に伴う人材確保と教育、社外においてはBEMS導入や太陽光発電設備建設等のための協力先を確保し連携を強化する。 {投資} 【バイオマス発電事業】 2015年末から岩手県でバイオマス発電事業を開始するもよう。地元で集めた間伐材を材料とした発電機を稼働させ、新設する新電力を通じて販売する。初期投資額は約28億円。バイオマス発電と電力小売の両方から収入を得、7年で投資額を回収する計画。 生み出した電力は木材の種類により1キロワット時当たり24円から32円で新電力に販売。新電力は電力を自治体などに販売する。初期投資額は約28億円で、7年で投資額を回収する計画。
分野 | 内容 |
出力 | 6250キロワット |
発電販売額 | 1キロワット時あたり24円~32円 |
電力小売販売額 | 東北電力より約5%安 |
初期投資額 | 28億円 |