サンバイオの再生細胞薬「SB623」は神経機能を再生する作用を持つ治療薬。体の自然な再生プロセスを促進させ、失われた運動機能、感覚機能、認知機能の再生に期待されている。患者本人の細胞を処理して再度患者に戻すものでは無く、均質の細胞を大量製造して製品化。同一製品で多くの患者を同様に治療できるため、製品認可取得後には迅速な普及が見込まれるとしている。
SB623の開発
ライセンス先の大日本住友製薬と共同開発している。
米国では、慢性期脳梗塞の第Ⅱb相臨床試験と外傷性脳損傷の第Ⅱ臨床試験が開始。慢性期脳梗塞では、2018年から最終治験を実施し、2020年の販売を目指しているもよう。米国では脳梗塞による後遺症患者が680万人いるとされている。
日本では、2015年7月に外傷性脳損傷を対象とした製造販売承認に向けて本格的な開発に着手。2016年4月に日本での臨床試験の認可を取得した。2016年の治験開始。日本での早期認証制度を活用し、早期販売を目指す。
外傷性脳損傷とは、交通事故や転倒などで頭部に強い衝撃が加わり、脳が傷つくことで起こる疾患。半身麻痺や記憶障害などが起こる。
地域 | 対象 | 内容 |
米国 | 慢性期脳梗塞 | 2018年に最終治験を実施。2020年の販売を目指す |
第Ⅱb相臨床試験を実施 | ||
外傷性脳損傷 | 第Ⅱ相臨床試験を実施 | |
日本 | 外傷性脳損傷 | 2016年に治験を開始 |
【ライセンス】
コード | 企業 | 地域 | 期間 |
4506 | 大日本住友製薬 | 米国・カナダ | 上市から20年間 |
3401 | 帝人 | 日本 |
SB623の主な特徴
慢性期脳梗塞などの脳神経疾患の場合は、低位脳手術と呼ばれる脳神経外科で既に普及した手技により、局所麻酔で安全に投与できる。患者は長期入院が不要。投与に当たっては、免疫抑制剤も不要で、通常の医薬品と同様に同一の製品を全てに患者に使用することが可能。
SB623の戦略
SB623の対象疾患を慢性期脳梗塞から外傷性脳損傷、網膜疾患、パーキンソン病、脊髄損傷、アルツハイマー病などへと順次拡大する。必要な資金は増資や借入などで賄っていく予定。
サンバイオの業績推移
米国で慢性期脳梗塞の第Ⅱb相臨床試験や外傷性脳損傷の第Ⅱ相臨床試験が開始されたことに伴う臨床開発費用が大幅増加。日本でも外傷性脳損傷の治験が2016年中に開始される予定で、開発プログラムの拡大に伴い人員増。研究開発費が増加する。
事業収益 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2017年(予) | 6.6億円 | ▲39億円 | ▲39億円 | - | - | - |
2016年 | 9.4億円 | ▲21億円 | ▲18億円 | 45億円 | 62億円 | 72.8% |
2015年 | 11億円 | ▲11億円 | ▲9.8億円 | 63億円 | 82億円 | 77% |
2014年 | 32億円 | 22億円 | 17億円 | ▲0.8億円 | 17億円 | ▲5% |
2013年 | 2億円 | ▲5.8億円 | ▲5.8億円 | ▲19億円 | 4.7億円 | ▲413.8% |
※事業収益は主に大日本住友製薬向け