米国は2013年5月22日、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的緩和の柱である米国債の購入ペースを早期に縮小する可能性を示唆した。それに伴い株価は下落、長期金利は上昇し、外国為替相場では円相場が乱高下。ファンド勢は円売り・ドル買いの持ち高解消に動いた。それに伴い、影響を受けたファンドや運用会社の資金動向などの情報をまとめた。 【マクロ戦略ファンド】 世界の株式や債券、通貨などに投資するマクロ戦略ファンドは、5月の投資収益率が1.5%のマイナスとなった。FRBの旺盛な債券買いが見込めなくなるとの懸念から、米長期金利が上昇。米10年物国債利回りや格付けの低い企業の社債利回りなども上がり、債券相場の先行きを強気に見ていたファンドに損失が発生している。 【債券運用投資信託】 債券で運用する米国の投資信託や上場投資信託(ETF)では、2013年5月29日から6月5日までの1週間で91億ドル(約9000億円)の資金が流出した。金額ベースでは、過去20年間で2番目の大きさ。 【[米債券運用最大手ピムコ[2501]]】 米債券運用最大手のピムコは、5月の投資収益率がマイナス2%となった。月間としてはリーマンショックの起きた2008年9月以降で最も悪かったという。 ピムコの軍艦ファンド「トータル・リターン・ファンド」は2013年5月に米国債保有比率を引き下げ、4月の39%から5月は37%とした。 ピムコの運用総資産は2兆400億ドル(2013年3月)、トータル・リターン・ファンドの運用総額は2952億ドル。 【[英ヘッジファンド大手マン・グループ[2473]]】 英ヘッジファンド大手マン・グループは、2013年5月月間で主力ファンドの運用資産が8.7%減少した。米国に金融緩和が縮小に向かうとの観測が浮上し、日経平均株価の乱高下や世界的な株価の下落、米国債など債権利回りも上昇し損失が膨らんだ。 【[日本の生命保険[2494]]】 2013年5月、生命保険会社の海外中長期債の売買が売り越しに転じた。7000億円の国外中長期債を購入した一方、8000億円を売却、差し引き1000億円の売り越しとなった。国内の長期金利が上昇したことで、高い利回りを求めて資金を海外に振り向ける必要性が薄れた。 【[日本の銀行部門[2494]]】 2013年5月、銀行部門による中長期債の対外投資は2.4兆円の売り越しとなり、2ヶ月連続して2兆円を超す外国債券の売却となった。