日銀は、2013年4月4日の金融政策決定会合で、2年間で前年比2%の物価上昇率を目指す金融緩和の導入を決めた。
政策目標を金利からマネーの量に切り替え、市場に供給するお金の量を示すマネタリーベースを2年間で倍増させる。また、国債に加え、上場投資信託(ETF)などリスク資産も買い増す。緩和策を総動員して借入金利の低下を促し、企業の投資を後押しする。
・政策目標を金利からマネーの量に切り替え
日銀が誘導してきた短期金利はほぼゼロに張り付く。金利の下げ余地が無い状況で緩和を進めることから、銀行間の取引に使う無担保コール翌日物金利から、資金供給量の指標であるマネタリーベースに切り替える。
・市場に供給するお金の量を示すマネタリーベースを2年で倍増
日銀が金融機関から国債等を買い入れてお金を市中に供給し、現在のマネタリーベース138兆円から2015年までに270兆円と2倍に膨らませる。
・国債に加え上場投資信託(ETF)などリスク資産も買い増し
設備投資や住宅購入の資金借入基準となる長期金利の低下を促す。購入対象の国債も広げ、40年の超長期債まで幅広く買う。対象となる国債の平均残余期間は3年弱から市場平均の7年まで増やす。毎月の国債買い入れ額は7兆円強で、月間発行額の7割に達する。
また、リスク資産の買い入れ拡大として株価下支え効果のあるETFは年1兆円、不動産市況に効果のある不動産投資信託(REIT)は年300億円増やす。
{マネタリーベースの目標とバランスシートの見通し}
(単位:兆円)
| 2012年末 | 2013年末 | 2014年末 |
マネタリーベース | 138 | 200 | 270 |
長期国債 | 89 | 140 | 190 |
CP等 | 2.1 | 2.2 | 2.2 |
社債等 | 2.9 | 3.2 | 3.2 |
ETF | 1.5 | 2.5 | 3.5 |
J-REIT | 0.11 | 0.14 | 0.17 |
貸出支援基金 | 3.3 | 13 | 18 |
銀行券 | 87 | 88 | 90 |
当座預金 | 47 | 107 | 175 |
{日銀の経済・物価見通し}
(%)
| 実質GDP | 消費者物価指数 | 国内企業物価指数 |
2012年 | 1.0 | -0.2 | -1.2 |
2013年 | 2.3 | 0.4 | 0.8 |
2014年 | 0.8 | 0.9 | 1.2 |
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