油圧機器メーカーのKYBによる免震・制振装置の検査データ改ざん問題。2018年8月上旬に子会社の検査員が内部告発して問題が発覚。2カ月の社内調査後、2018年10月16日に公表した。改ざんの疑いのある免震・制振装置は、全国でマンションなど987件に計1万928本設置。基準に満たない製品を設置した建物は、地震の時に揺れが伝わりやすくなる可能性があるという。KYBは、2020年9月の交換完了を目指す。
免震・制振装置事業の連結売上高は1%に過ぎないが、改修費用の巨額化が懸念されている。交換工事は建設会社が請け負うが、人手が足りないことから改修が長期化する恐れがある。また、免震ダンパーの価格は、1本数十万円~100万円で、交換費用は1本あたり数百万円以上とされる。不正の疑いのある製品点数の3割を占める制振ダンパーは、建物によっては100本を超える。壁に埋め込まれた場合、解体工事が必要になり、改修費用はさらに膨らむ。
2015年に免震偽装が発覚した東洋ゴム工業は、全国で154棟に出荷。作業は6割が完了。2015年12月期からの特別損失は累計で1400億円を超える。KYBの設置件数は東洋ゴムの6.4倍に上る。また、2015年に子会社でくい打ち工事のデータ改ざんが見つかった旭化成では、2016年3月期に14億円を特別損失に計上。マンションの建て替えなどで約509億円の損害賠償請求をされ、係争が続く。