東芝は、海外テレビ事業から撤退する。北米では2015年3月から自社開発・販売を終了。台湾コンパル社に東芝ブランドを供与した。東南アジアではインドネシアのテレビ工場を台湾や中国などの電機メーカーに売却。東芝ブランドを供与するライセンス事業に切り替える方針。欧米ではポーランドのテレビ工場を台湾の仁宝電脳工業に売却。エジプトの合弁工場は、合弁を解消し売却交渉を行っている。

また、人員削減にも踏み切り、テレビ事業を縮小する。


電機大手のテレビ事業の構造改革

企業 内容 時期
東芝 北米での自社開発・販売を終了。ライセンス供与に移行 2015年3月
インドネシア工場を台湾や中国などの電機メーカーに売却  
ポーランドのテレビ工場を台湾社に売却  
エジプト合弁工場を解消し売却交渉  
パナソニック 中国での生産から撤退 2015年2月
三洋電機の北米テレビ事業を売却 2015年3月
ソニー テレビ事業を分社化 2014年7月
シャープ 北米の生産設備を中国社に売却 -
欧州事業をUMC社にブランド供与 2015年1月

【パナソニック】
2015年2月に中国で年17万台を生産する液晶テレビ生産から撤退を発表。価格が安い韓国や中国メーカーとの競争が激しく、採算が見込めないと判断した。2015年3月末には三洋電機の北米事業を船井電機に売却。船井電機に三洋電機のブランドを供与する体制に切り替えた。


【ソニー】
2014年7月にテレビ事業を分社化。テレビ事業の営業利益は2011年度の▲1475億円、2012年度の▲696億円、2013年度の▲255億円と赤字を圧縮。2014年度は4Kを軸に年間1600万台の販売を目指すことや新興国で地域毎に市場ニーズに適した機種を企画・導入し黒字化を達成した。


【シャープ】
北米ではテレビの生産設備などを中国の海信集団に売却し、生産から撤退。2015年度に売却に伴う特別損失を96億円計上する。欧州ではスロバキアのUMC社にブランドを供与。欧州の範囲はイタリア、ロシア、イギリス、オランダ、フランスを除く地域。2015年1月1日から新体制での事業を開始。


家電大手のテレビ事業関連セグメントの業績推移

    2011年 2012年 2013年 2014年 2015年4-9月
東芝 売上高 - 1兆2678億円 1兆3146億円 1兆1637億円 2232億円
営業利益 - ▲704億円 ▲546億円 ▲1097億円 ▲218億円
パナソニック 売上高 1兆7135億円 1兆3739億円 1兆2193億円 1兆1543億円 1兆1719億円
営業利益 ▲678億円 199億円 204億円 518億円 435億円
ソニー 売上高 1兆2832億円 9948億円 1兆1686億円 1兆2073億円 2891億円
営業利益 ▲2032億円 ▲843億円 ▲255億円 201億円 158億円
シャープ 売上高 1兆610億円 7326億円 4856億円 4375億円 1673億円
営業利益 ▲61億円 ▲98億円 89億円 ▲134億円 ▲150億円

※東芝 テレビ・パソコン・白物家電など
※パナソニック 液晶テレビ・パソコン・デジタルカメラ・オーディオ機器など→14年から薄型テレビ・オーディオ機器・ビデオ機器・エアコン・冷蔵庫・など家電等
※ソニー 液晶テレビ・オーディオ・ブルーレイレコーダーなど
※シャープ 11年~12年デジタル情報家電+通信→13年~15年デジタル情報家電


リストラ推進

白物家電やテレビ事業でリストラを進める。約2万4000人の人員のうち最大7000人程度を希望退職などで削減する。テレビやパソコンの開発拠点がある青梅事業所を大幅に縮小。テレビ事業は開発からの撤退を検討する。

東芝は今後、原子力や火力発電などの発電機事業、昇降機や業務用空調などのインフラ部門、スマートフォンなどに使うNAND型フラッシュメモリーなどに経営資源を集中する。

項目 内容
リストラ部門 白物家電やテレビ事業
内容 人員削減 7000人
開発拠点 青梅事業所を大幅縮小
撤退 テレビ開発から撤退を検討


東芝の業績推移

  売上高 営業利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2014年 6兆6558億円 1704億円 ▲378億円 1兆5653億円 6兆3347億円 17.1%
2013年 6兆4897億円 2571億円 602億円 1兆4459億円 6兆1725億円 16.6%
2012年 5兆7222億円 920億円 134億円 1兆2058億円 6兆216億円 13.7%
2011年 5兆9964億円 1149億円 31億円 1兆838億円 5兆6730億円 12.7%