フジクラの自動車用組み電線(ワイヤーハーネス)の半分が独フォルクスワーゲン(VW)向けとみられることから、VWの排ガス試験の不正問題での影響が懸念される。
ワイヤーハーネスは、車内の各ユニットを正常に作動させるための電気経路。フジクラの自動車用ワイヤーハーネスを含む自動車電装事業セグメントの2014年度の売上高は1436億円、営業利益は47億円で、全体に占める割合は売上高が21.7%、営業利益が18%となっている。
フジクラは2015年度の自動車電装事業で、欧州・南米向けで複数の車種向けに量産を開始するための準備を進めており、以後も欧州・北南米向けで新たな受注が確定・見込まれるとしている。
独VWの排ガス試験不正問題
独VWが米環境保護局(EPA)による排ガス試験をクリアするために、検査中だけ排ガスを減らす違法なソフトウェアを使っていた問題。対象車種はVWと傘下アウディで2008年以降に販売された「ゴルフ」「パサート」などディーゼル5車種。台数は1100万台に上るもよう。
【費用】
VWは2015年7-9月期に対策費用として65億ユーロ(約8700億円)を特別損失に計上。対象車種の販売停止を決定。リコールも実施する見通し。また、ソフトウェアの設定を変更すると燃費悪化と二酸化炭素排出量が増える恐れがあることから、搭載されたディーゼルエンジン自体の交換を求められれば費用はさらに膨らむ可能性がある。また、制裁金が最大180億ドル(約2兆1600億円)に上るとの報道もある。
項目 | 内容 |
特別損失 | 8700億円 |
対象車種 | 販売停止 リコール実施 |
エンジン | 交換の可能性 |
制裁金 | 2兆1600億円との報道 |
【販売】
スイスの交通規制当局は、2015年9月25日、VWによる排ガス試験不正問題を受け、VWグループのディーゼル車の一部を販売禁止にすることを決めた。不正なソフトを搭載した車種が対象とみられ、18万台が影響を受ける見通し。
【VWの業績】
2014年 | |
売上高 | 27兆1180億円 |
営業利益 | 1兆7000億円 |
販売台数 | 1013万台 |
フジクラの自動車電装事業セグメント推移
2012年 | 2013年 | 2014年 | |
売上高 | 878億円 | 1238億円 | 1436億円 |
営業利益 | 20億円 | 52億円 | 47億円 |
営業利益率 | 2.2% | 4.2% | 3.3% |
フジクラの業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2015年(予) | 6800億円 | 250億円 | 150億円 | - | - | - |
2014年 | 6615億円 | 210億円 | 122億円 | 2345億円 | 5775億円 | 37.8% |
2013年 | 5909億円 | 138億円 | 33億円 | 2072億円 | 5372億円 | 35.9% |
2012年 | 4911億円 | 12億円 | 30億円 | 2047億円 | 5289億円 | 36% |