エンプラスは、M&Aへの投資枠140億円を設定したもよう。2015年9月8日、日本経済新聞が報じた。M&Aを検討するのは北米のバイオ関連や自動車部品、IT関連などの企業。2015年内にも北米に拠点を設置するという。
エンプラスは2015年6月末時点で約261億円の現預金を保有。有利子負債は2.5億円。運転資金として120億円を手元に置き、残りをM&Aなどに充当するとしている。具体的な投資期限は設定しない。
2015年度の純利益見通し76億円の約2倍の投資枠を設定した大型M&A計画。
項目 | 内容 |
投資枠 | 140億円 |
対象 | 北米のバイオ関連、自動車部品、IT関連企業のM&A |
期限 | 設定しない |
エンプラスの経営戦略
エンプラスは世界シェア首位の液晶向け発光ダイオード(LED)拡散レンズが営業利益の約80%を稼ぐ。地域別売上高では、中国が8.3%、韓国が38.8%、その他アジアが20.4%でアジア地域で67.6%を占める。
新興国では競合メーカーによる低価格品の台頭や液晶テレビ需要の変動などから、LED拡散レンズを含むオプト事業の売上高は2013年の209億円から2014年は186億円、営業利益は114億円から93億円に減少している。
市場の動向や新興国市場の成長が鈍化してきていることから、エンプラスは新たな収益源の開拓に動く。北米のバイオベンチャーや自動車部品メーカーなどプラスチック製品の利用が見込める企業に出資し、新製品の開発につなげる狙い。
M&A
2014年11月20日、DNAチップ研究所の株式20.01%と新株予約権の取得を発表。取得額は6.3億円。新株予約権全てが行使された場合、持株比率は33.4%となる。
DNAチップ研究所は遺伝子関連の受託検査技術を保有。エンプラスのエンジニアリングプラスチック精密加工技術を融合し、国内外の生体分析や医療分野での展開を図る。
項目 | 内容 |
投資額 | 6.3億円 |
対象 | DNAチップ研究所 |
事業 | 遺伝子関連の受託検査 |
エンプラスの業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2015年(予) | 400億円 | 110億円 | 76億円 | - | - | - |
2014年 | 396億円 | 112億円 | 79億円 | 485億円 | 538億円 | 90% |
2013年 | 395億円 | 129億円 | 91億円 | 431億円 | 509億円 | 84.5% |
2012年 | 262億円 | 49億円 | 56億円 | 336億円 | 386億円 | 86.6% |
2011年 | 207億円 | 12億円 | 9.6億円 | 268億円 | 313億円 | 84.8% |
【オプト事業】
※LED用拡散レンズや光通信デバイス、CD・DVDレコーダー用光ピックアップ光学部品など
オプト事業 | 2012年 | 2013年 | 2014年 |
売上高 | 97億円 | 209億円 | 186億円 |
営業利益 | 42億円 | 114億円 | 93億円 |
営業利益率 | 43% | 54.7% | 49.9% |
【地域別】
地域 | 売上高 | 売上高に占める割合 |
中国 | 33億円 | 8.3% |
韓国 | 154億円 | 38.8% |
その他アジア | 81億円 | 20.4% |
アジア | 268億円 | 67.6% |