ゼリア新薬は、2015年7月9日、アストラゼネカが販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「エントコート」の販売権を取得したと発表した。取得額は約265億円。範囲は米国を除く全世界。
潰瘍性大腸炎とクローン病を含む炎症性腸疾患(IBD)は世界に約500万人の患者がいると推定されている。「エントコート」はクローン病を適応として40ヶ国以上で承認されている。ゼリア新薬は潰瘍性大腸炎を適応とするIBD治療薬「アサコール」を世界50ヶ国で販売。「テントコート」の権利取得で「アサコール」を補完することが可能になる。
項目 | 内容 |
取得額 | 265億円 |
対象 | IBD治療剤「エントコート」の販売権 |
「エントコート」の見通し
ゼリア新薬の2014年の売上高610億円のうち、アサコールの販売額は188億円だが、2015年内に後発薬の販売が予定されているもよう。ゼリア新薬はエントコートの取得で後継となる製品を確保。エントコートの世界販売高は約64億円とされている。
また、日本ではアストラゼネカの日本法人がクローン病を適応症として製造販売承認申請の準備をしている。承認後はゼリア新薬が販売する予定。
資金調達の可能性
「エントコート」の権利取得額は約265億円。一方、ゼリア新薬の保有現金は2015年3月末時点で180億円、有利子負債は222億円あるため、手元の資金だけでは265億円の充当は難しい。そのため、資金調達を行う可能性がある。
ゼリア新薬は、2015年7月13日、銀行借入で2億100万スイスフラン(約255億円)を調達。借入利率は銀行調達金利+スプレッド。返済期限は2016年7月13日。
2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | |
保有現金 | 57億円 | 73億円 | 222億円 | 180億円 |
有利子負債 | 339億円 | 309億円 | 264億円 | 222億円 |
純利益 | 28億円 | 39億円 | 52億円 | 25億円 |
【銀行借入】
項目 | 内容 |
借入額 | 255億円(スイスフラン建て) |
借入利率 | 銀行調達金利+スプレッド |
借入日 | 2015年7月13日 |
返済期限 | 2016年7月13日 |
ゼリア新薬の業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2015年(予) | 650億円 | 40億円 | 30億円 | - | - | - |
2014年 | 610億円 | 27億円 | 25億円 | 625億円 | 962億円 | 65% |
2013年 | 619億円 | 68億円 | 52億円 | 587億円 | 994億円 | 59% |
2012年 | 533億円 | 46億円 | 39億円 | 369億円 | 782億円 | 46.9% |
2011年 | 531億円 | 44億円 | 28億円 | 304億円 | 752億円 | 40.4% |
【「アサコール」を含む医療用薬品事業】
2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | |
売上高 | 309億円 | 319億円 | 364億円 | 337億円 |
営業利益 | 57億円 | 65億円 | 67億円 | 19億円 |
営業利益率 | 18.5% | 20.5% | 18.6% | 5.7% |
アサコール | 102億円 | 120億円 | 171億円 | 188億円 |