イナリサーチは、2015年8月17日、iPS細胞から作製した心筋細胞を心筋梗塞部に移植することにより、心臓機能を取り戻そうとする研究で、心機能の改善が確認されたと発表した。

2014年11月12日、信州大学と共同研究すると発表。イナリサーチはサルの試験に強く、カニクイザルを用いたiPS細胞の心臓移植を準備。全ての準備が整い移植試験を開始した。心筋梗塞から生還しても、後日に心不全を発症するケースがあり、iPS細胞から心筋細胞を作製し、心臓機能を取り戻す手法を研究するとしている。

イナリサーチは、各種受託試験の増加やレンタルラボの稼働率の向上、共同研究の増加などの貢献が期待されるとしている。


イナリサーチの事業環境

非臨床試験市場は、製薬業界の後発医薬品拡大や新薬の上市確立の低下などから、臨床研究段階の医薬品シーズの導入や企業買収などに多くの研究開発費を充てる傾向にある。そのため、医薬品開発の早い段階で行われていた長期の安全性試験が開発ステージの終盤で行われるようになったことから試験数が減少。2011年2012年は赤字になった。イナリサーチは固定費削減で売上が減っても利益を確保できる事業構造への再編を実行。2013年度に黒字回復を達成した。現在、非臨床試験受託市場は徐々に回復傾向。試験単価は厳しい状況ながら、試験数は最盛期の水準に戻りつつあるとしている。


イナリサーチの業績推移

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2015年(予) 22億円 0.1億円 0.07億円 - - -
2014年 29億円 0.3億円 0.08億円 18億円 40億円 43.2%
2013年 27億円 0.4億円 0.7億円 17億円 41億円 41.4%
2012年 28億円 ▲0.1億円 ▲0.06億円 17億円 42億円 39.7%
2011年 28億円 ▲0.4億円 ▲1.1億円 17億円 45億円 36.5%
2010年 39億円 0.7億円 0.2億円 18億円 51億円 34.6%