検討されている金融機関規制。G20は国際展開する巨大な金融機関に補助的な自己資本の導入を義務付けることを検討している。銀行が経営危機に陥った場合でも、公的資金の投入を通じた政府による救済に至る前に、債権者が損失を負担し、経営再建を軌道に乗せる方針に転換する。
バーゼル委員会は、金利が上昇した際に、銀行経営に影響が出ないようにする新たな規制をまとめる見通し。国債の利回りが突然上昇して損失が出ても、金融市場への混乱を防ぐのが狙い。
G20
G20は国際展開する巨大な金融機関に補助的な自己資本の導入を義務付けることを検討している。現在、銀行が進めているバーゼル3の自己資本とは別の資本で、債務超過に陥った場合に直ちに損失処理に充てられる資本を補助的に積み増しさせる「第2資本」と呼ばれる仕組み。銀行が経営危機に陥った場合でも、公的資金の投入を通じた政府による救済に至る前に、債権者が損失を負担し、経営再建を軌道に乗せる方針に転換する。
世界上位約30銀行が対象で、日本の3メガバンクも対象となる見込み。G20はバーゼル3と補助資本の組み合わせで銀行が持つ貸出など資産に対する自己資本の最低比率を16~20%への引き上げを提案。2019年1月以降に適用される見通し。
項目 | 内容 |
第2資本 | リスク資産の20%以上を補助的に積み増し |
バーセル委員会
バーゼル委員会は、金利が上昇した際に、銀行の経営に影響が出ないようにする新たな規制を2016年にもまとめる見通し。対象は銀行が保有する国債や住宅ローン、長期の企業向け融資など。適用は2019年以降。
金利上昇リスクを銀行経営の健全性評価に盛り込む共通ルールの導入や金利変動によるリスクの高まりにより、資本増強や国債売却などを求める行政処分を出せるようにするなど、銀行を監視する各当局の権限を強めることなどが検討されているもよう。
各銀行が健全性を維持するには、金利上昇時のルールに基づいて、国債などの一部を売却するか、資本の積み増しが必要になる。
項目 | 内容 |
対象 | 国債 住宅ローン 長期企業向け融資 |
検討 | 共通ルールの導入 |
各当局の権限強化 | |
適用 | 2019年以降 |
【バーゼル3】
項目 | 内容 |
バーゼル3 | 2019年までに普通株式など質の高い中核自己資本を最低8%に引き上げ |
重要度に応じて1~2.5%上乗せ |
参考
・金利が1%上がると、邦銀が持つ債券価値は約5.5兆円下がる(日銀試算)