スカイマークは、2014年7月29日、欧州航空機エアバスに発注していた大型旅客機A380型機の購入計画を変更せざるを得なくなったとし、エアバスと交渉していると発表。同日、エアバスは、スカイマークとの売買契約を解除したと発表した。「契約に基づくあらゆる権利及び救済策を行使する」としている。

スカイマークは2014年度に国際線事業への参入を目指し、2011年2月にエアバスとA380型機の購入契約を締結。6機を2014年10月から2019年12月に段階的に導入する計画だった。総投資額は約1915億円。

しかし、近年の円安や競争激化で経営環境が厳しくなり、代金の支払いのめどがたたないことから、エアバスは契約不履行として契約解除を通告。違約金として7億ドル(約710億円)を要求したとみられる。また、スカイマークは購入費用の前払い金として約250億円を前払いし、資産として計上している。エアバスはこの前払い金についても返還に応じないもようで、解約が確定すれば損失処理が必要となり、2014年度の純利益予想3億4500万円から赤字になる可能性がある。

スカイマークはエアバスと違約金額について交渉を継続中としている。

 

A380型機関連情報

【スカイマークのA380型機導入計画】

項目 内容
総投資額 1915億円
対象 エアバスA380型機6機
期間 2014年10月~2019年12月

 

【A380型機購入断念での影響額見通し】 

項目 内容
前払い金 約250億円
違約金 約710億円

 

スカイマークの業績推移 

【2014年度 業績予想下方修正】

エアバスA330-300型機の導入コストの発生や円安の進行、燃料費の高止まりなどから減益。売上高は競合他社との競合激化による旅客数の減少や単価下落で想定を下回る。

2014年(予) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
修正後 882億円 ▲124億円 ▲115億円 ▲136億円
修正前 1044億円 3.1億円 6.4億円 3.5億円

 

【2010年~2013年度】

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2013年 859億円 ▲4億円 ▲18億円 446億円 787億円 56.2%
2012年 859億円 80億円 37億円 468億円 742億円 62.6%
2011年 802億円 157億円 77億円 428億円 677億円 63%
2010年 580億円 109億円 63億円 173億円 373億円 46.1%

 

経営対応策 

【資金調達】
外部から資金調達も検討。2015年1~2月にも発行済み株式の25%を上限に国内外の投資ファンドから資金調達を行うことを検討しているもよう。

【航空会社と提携交渉】
2014年11月21日、日本航空に対し支援を要請していることを表明。日本航空と共同運航。共同運航により自社サイトの直販売から販路を拡大し、年間80億円の増収効果を見込むもよう。また、全日本空輸にも提携を通じた支援を要請。日本航空と全日本空輸との共同運航で約160億円の増収効果を見込む。両社からの資本は受け入れない方針。3月29日より始まる夏ダイヤからの共同運航実現に向け交渉を進めている。

なお、羽田発着枠の国内線は共同運航に国土交通省の認可が必要になる。国土交通省は日本航空と全日本空輸が検討している共同運航を5年限りとするよう求める見通し。

【コスト削減】
2014年8月14日、10月26日から路線数を34から27に削減すると発表した。成田空港などから撤退。撤退により年間約30億円のコスト削減が見込まれている。また、24路線で大人普通運賃を引き上げる。神戸-新千歳線で69%上昇の片道3万2000円。羽田-福岡線で23%上昇の2万7000円。羽田-新千歳線で5%上昇の2万2000円など。スカイマークは、値上げと同時に空席状況に応じて運賃が変動する新たな割引制度を導入するため、平均客単価は変わらないとしている。2015年夏に計38機を運用するとしていた機材の拡大計画も断念し、30機前後へと縮小も行うもよう。

項目 内容
削減効果 30億円

 

主要株主の動き 

エイチ・アイ・エスは2014年6月11日以降、市場内で売却を進めている。6月17日付けの大量保有報告書ではスカイマーク株の保有比率を10.11%から7.68%に、8月5日付けでは7.68%から6.49%に減らしている。

提出日 保有割合
6月17日 10.11%→7.68%
8月5日 7.68%→6.49%