ヒューマンメタボロームテクノロジーズ(6090)は、研究機関や企業のメタボローム解析試験の受託やバイオマーカー開発を主体とする事業を展開するベンチャー。受け取った試料からメタボローム解析サービスで得られたデータを製薬企業や大学、研究所では薬剤効果や毒性の評価に、食品企業では発酵プロセスの律速段階分析や機能性食品の評価などに用いられている。 {主要業績指数推移}
  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2012年 4億円 ▲0.7億円 ▲0.8億円 1億円 4億円 42.3%
2011年 5億円 ▲0.4億円 ▲0.4億円 2億円 5億円 51.7%
2010年 5億円 0.8億円 0.7億円 2億円 4億円 59.4%
2009年 3億円 ▲0.4億円 ▲0.3億円 1億円 2億円 64.6%
2008年 2億円 ▲1億円 ▲2億円 1億円 2億円 59.4%
【主な販売相手先】
2013年4-9月 2012年
売上高 割合 売上高 割合
慶應義塾大学 2427万円 11.9% 6484万円 13.1%
味の素 391万円 1.9% 5291万円 10.7%
Sime Darby 2110万円 10.4% 561万円 1.1%
{メタボローム解析とは} 生物の細胞内には数多くの化合物が存在しており、生物は代謝によって多様な有機化合物を生産する。生体内に存在する全代謝産物を網羅的に解析することをメタボローム解析と呼ぶ。 生物学では生命の設計図である遺伝子の配列を写し取り、その情報に従ってタンパク質を合成するという流れを理解することが、疾患のメカニズムの解明や医薬品研究において重要となっている。しかし、これらの情報だけでは代謝の挙動、患者の症状、医薬品の効果などを説明するためには不足と考えられており、代謝物質まで見ることが重要と考えられるようになった。 このような背景から、全ての遺伝子像(ゲノム)の振る舞いを把握する研究が進んでいる。また全ての代謝物質を対象にしたメタボローム、それを解析したメタボローム解析が研究で盛んに利用され始めている。 【メタボローム解析の活用分野】
メタボローム解析の活用分野
大学などの研究機関における疾患メカニズムの研究
製薬企業における探索・病理研究や毒性研究
発酵を利用した物質生産を行っている企業における生産性の向上
食品企業における成分分析や機能性の探索・確認
{バイオマーカーとは} 生物には生命生活を営むため、体温や心拍数が一時的に変化しても元に戻るというような恒常性を維持する仕組みが備わっている。しかし、病気になるとこの恒常性が破綻し健康の時と異なる振る舞いをするようになるものがバイオマーカーと言われる。 バイオマーカーとして広く知られている物に、膵臓の機能指標となる糖尿病や肝硬変、腫瘍マーカーとして前立腺がんや膵臓がんなどがある。バイオマーカーとは特定の疾患に対して客観的に評価できる生体上の指標をいう。 【メタボローム解析技術により、探索が進んでいるバイオマーカー】
メタボローム解析技術により探索が進んでいるバイオマーカー
疾患を予測するバイオマーカー
治療の予防を予測するバイオマーカー
投薬による副作用を予測するバイオマーカー
投薬の効果を予測するバイオマーカー
{事業内容} 【メタボローム解析事業】 主に製薬や食品などの民間機関や大学、公的研究機関からメタボローム解析試験を受託。解析する試料を受取り、試料から代謝物質を抽出、分析、メタボローム解析の上、試験結果を報告書として納品する。 【バイオマーカー事業】 血液などに含まれる代謝物質バイオマーカーは、疾患の早期診断や治療効果をモニタリングするための診断薬開発のシーズとなる。バイオマーカー事業を将来の成長事業と位置付け、大学や診断薬企業との共同研究開発を通じて、メタボローム解析技術を用いたバイオマーカー探索及び臨床検査薬の研究開発を進めている。研究開発を通じて得られたバイオマーカー診断法を開発し、診断薬企業と協力して体外診断用医薬品として上市すること、また製薬企業が行う新薬や既存薬適応拡大を意図した臨床試験にその体外診断用医薬品を導入することで、研究開発に係る協力金や医薬品が上市された時の製品売上ロイヤリティを獲得する。 {経営戦略 今後の見通し} メタボローム解析事業を収益の基礎とし、バイオマーカー事業を中長期的に成長を牽引する事業と位置付け。メタボローム開発事業は海外への展開が重要で、アメリカに設立した販売子会社を中心に海外への展開に注力する。バイオマーカー事業は、現在進められている大うつ病性障害バイオマーカーの診断、臨床検査分野での事業化が最重要課題としている。