カネボウ化粧品の美白化粧品で肌がまだらに白くなる症状「白斑」が出た問題で、カネボウ化粧品は、2013年8月25日時点で8678人の発症者が確認されたと発表した。前回調査の8月11日の7266人から1412人増えた。白斑が確認された8678人のうち「3ヶ所以上」「5センチ以上」といった重い症状の人は3379人で、化粧品の使用をやめたことなどで回復傾向にある人は1988人だった。
美白化粧品とは、しみ、そばかすの原因となるメラニン色素の成分を抑える機能などを備えた化粧品。乳液や化粧水など基礎化粧品が多く、化粧品各社は独自の有効成分を開発して販売競争をしている。
カネボウ化粧品は、7月4日に8ブランド71品目の自主回収を開始。家庭にあると推定される対象商品は約45万個と想定されていたが、8月25日時点で60万5000個、自主回収率134.4%となっており想定を上回っている。また、取引店の在庫回収数は約58万個と想定されていたが、8月25日時点で64万6409個を回収。取引店からの回収はほぼ終了したとしている。
カネボウ化粧品は引き続き製品の回収を告知している。また、医療費や通院に伴う交通費を全額負担し、慰謝料についても補償基準を検討する方針。7月23日には自主回収関連費用を売上原価に28億円、特別損失に56億円を計上すると発表した。
{花王株への影響}
カネボウ化粧品は花王の子会社で、花王はカネボウ化粧品の2012年度の業績を売上高1500億円、営業利益率7%強と発表している。花王への貢献度は売上高で14.8%、営業利益で10.3%程度とみられる。回収美白化粧品の国内売上高は50億円とみられ、カネボウ化粧品ブランドの価値低下につながる可能性がある。
自己回収発表時、回収費用は50億円と見積もられていたが、2013年7月29日に自己回収関連損失を売上原価に28億円、特別損失に56億円計上と発表し特別損失の計上見通しが確定した。しかしながら、8月11日時点の自主回収率は122.4%となっており当初の想定を上回っている。また、医療費や通院費に伴う交通費を全額負担することや慰謝料の補償基準の検討もしている。
花王ではカネボウの美白化粧品の自主回収や他の製品の買い控えの影響で、2013年度は通期で100億円の減収、営業利益で60億円の減少を見込む。店頭のカネボウ製品の売上高は20%減の状態が続いているようだ。「白斑」の発症者が1万人に達する見通しから慰謝料の支払いが膨らむことで、親会社である花王が計上する特別損失が想定を上回る可能性がある。カネボウでは完治を確認した白斑発症者への慰謝料の支払いを順次開始。金額は化粧品の使用期間や症状の重さに応じて個別に算出している。
2012年度 |
売上高 |
営業利益 |
営業利益率 |
花王 |
1兆125億円 |
1015億円 |
10% |
カネボウ化粧品 |
1500億円 |
105億円 |
7% |
回収美白化粧品 |
50億円 |
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