政府の総合化学技術会議は、動物の胚に人間の細胞を注入して、動物の体内で人間の臓器を作製する研究を認める方針を固めた。 研究は移植に使う臓器を作るのが目的。動物の受精卵が発生を始めて数日経った胚を一部の臓器ができないよう遺伝子操作した上で、人間の細胞を注入。「動物性集合胚」を作る。これを動物の子宮に入れて妊娠させ育てると、人間の臓器をもつ動物が生まれるとさせる。 東京大学などは、2010年にネズミで、2013年にブタで基礎的な実験に成功している。研究を発展させるには、ブタの受精卵に人間のiPS細胞を入れた集合胚を使う実験などが必要となっており、調査会で解禁が検討されてきた。 現在は文部科学省の指針で、動物性集合胚を14日間育てる基礎研究しか認められておらず、動物の子宮に入れることは容認されていない。しかしながら、再生医学が進んで、臓器丸ごとの作製も視野に入り、動物の体内で臓器を育てる研究が欠かせないと判断した。 ただし、無条件に人間の臓器を持つ動物を作ることは人間の尊厳を冒す恐れもあり、容認する研究内容は一定の制限をかけて個別に判断するべきだとしている。