政府は成長戦略で、2013年~2015年を企業の設備投資を促す集中期間と位置付け、税制・予算措置や規制改革を総動員する。一方、消費増税や相続税、所得税の最高税率引き上げも予定されている。
そこで、何が増税になり、何が減税になるのか。その時期や主な内容を以下にまとめた。
{自動車}
【自動車重量税】
2013年12月5日、購入時と車検時に払う自動車重量税の変更を検討開始。2014年度の税制改正大網に盛り込む方針。
重量税は車の経過年数で3段階で税額が設定されているが、4段階に変更。登録から11年~18年経つ車は900~1000円の増税にする。また、「2015年度の燃費基準を20%上回る車」の車検は、初回免税、2回目50%減税だが、2回目を75%減税にする。また、「燃費基準を10%上回る車」と「燃費基準を達成する車」は初回車検時の軽減措置しかなかったが、2回目の車検時にも減税措置を新設する見通し。
経過年数 |
車検時 |
現行 |
2014年度 |
2015年度の燃費基準 |
現行 |
2014年度 |
3段階 |
4段階 |
初回 |
2回目 |
初回 |
2回目 |
20%上回る車 |
免税 |
50%減税 |
免税 |
75%減税 |
11年~18年経つ車は900~1000円の増税 |
10%上回る車 |
軽減措置 |
なし |
軽減措置 |
減税措置を新設 |
達成する車 |
軽減措置 |
なし |
軽減措置 |
減税措置を新設 |
【軽自動車税】
軽自動車の所有者が年1回納める軽自動車税を引き上げる方針。2015年4月以降に購入した新車に限定し、増税幅は年7200円から1万800円に上げる方向。また、燃費の悪い軽自動車お税金の上げ幅を大きくする一方、燃費の良い軽自動車の税金を上がりにくくする。2015年10月に予定する消費税の10%への引き上げまでに実施する方向で調整しており、2014年度の税制改正に盛り込む方針。
|
現在 |
2015年10月 |
軽自動車税 |
7200円 |
1万800円 |
【自動車税】
登録車の保有税である自動車税を見直す方向。小型自動車の税額を現在の2万9500円から数千円下げ、軽自動車との差を縮める方針。環境性能に応じて税負担が変わる仕組みを入れる方向で調整している。
【自動車取得税】
自動車取得税は消費税率が8%に上がる2014年4月に税率を現在の5%から3%に、軽自動車は3%を2%にする方針。
|
現在 |
2014年4月 |
2015年10月 |
小型自動車 |
5% |
3% |
廃止 |
軽自動車 |
3% |
2% |
廃止 |
{設備投資}
政府は新たに設備を購入した企業が投資額の最大10%を法人税から差し引ける控除制度を設ける。景気拡大のカギとなる民間設備投資を2012年度の63兆円から2015年度に70兆円まで高める。2014年1月以降の投資が対象。
【大企業】
大企業の控除率は将来の生産性が1%以上上がる機械や工具、投資利益率が15%以上の生産ラインを導入すると、投資額の5%を控除できる。また、通常5年以上掛かる投資額の減価償却を1年で済ませることができる即時償却も選べる。
対象 |
2016年3月まで |
2017年3月まで |
将来の生産性が1%以上上がる機械等 |
即時償却又は5%の税額控除 |
50%の特別償却又は4%の税額控除 |
投資利益率が15%以上の生産ライン導入 |
【中小企業】
中小企業の控除率は資本金1億円以下で7%、3000万円以下は10%で、対象となる設備もソフトウェアやサーバーなど幅広い。
対象 |
2014年度から |
対象設備 |
資本金1億円以下 |
7% |
ソフトウェアやサーバーも |
資本金3000万円以下 |
10% |
【研究開発費】
研究開発費を増やした企業向けの法人税の控除も拡大。従来は直前3年の平均を上回った試験研究費の5%を控除する仕組みだったが、控除率を30%に高める。
対象 |
現在 |
2014年度から |
直近3年平均を上回った研究開発費 |
増加分の5% |
増加分の最大30% |
{不動産}
古いマンションの売却と解体をしやすくする税優遇税を検討。マンションを丸ごと売るのに必要な住民の合意を10割から8割に引き下げ。マンション売却で得た譲渡所得にかかる所得を15%から10%に、個人住民税を5%から4%にそれぞれ軽減する方向で調整しているようだ。優遇税の対象は、1981年の建築基準法改正前の「旧耐震基準」に基づいて建てられたマンションとなる見通しで、全国に約106万戸あるもよう。また、部屋をいったん買い取る組合の不動産所得税なども免除する方向。
マンション丸ごと売却 |
住民合意 |
10割→8割 |
譲渡税 |
20%→14% |
{交際費}
2014年度から資本金1億円超の大企業を対象に、交際費の50%までを税法上の費用と認め、税負担を軽くする方針。2~3年の時限措置で、対象は飲食費。金額に上限は設けない。
期間 |
内容 |
対象 |
企業 |
2014年~2016年 |
交際費50%まで非課税 |
飲食費 |
資本金1億円以上の大企業 |
{主な税制改正スケジュール 2014年~2015年}
年 |
月 |
税 |
内容 |
2014年 |
1月 |
増税 |
株の配当・売買益課税(10%→20%) |
1月 |
減税 |
非課税口座内の少額上場株式等の配当・譲渡所得の非課税措置(100万円まで) |
4月 |
減税 |
住宅ローン減税の拡充。借入金限度額を最大4000万円に拡大。 |
4月 |
増税 |
消費税率引き上げ。5%→8%へ。 |
4月 |
減税 |
自動車取得税と自動車重量税の減税 |
2015年 |
1月 |
増税 |
相続税の基礎控除を現行の60%に縮小 |
1月 |
増税 |
相続税の最高税率を5%引き上げ、55%に。 |
1月 |
増税 |
所得税の最高税率を5%引き上げ、45%に。 |
1月 |
減税 |
小規模宅地等の相続税の特例の拡充 |
10月 |
増税 |
消費税率引き上げ。8%→10%。 |
10月 |
減税 |
自動車取得税の廃止 |