三菱自動車の燃費不正操作問題での費用が2050億円となる見通しとなった。日産自動車は三菱自動車の株式を34%取得し筆頭株主となる。今後は日産自動車と三菱自動車の相乗効果が焦点となる。

燃費が改ざんされた軽自動車4車種の販売は2016年7月上旬の再開を目指す。また、三菱自動車は立て直しに向け設備投資や研究開発費を積み増し。設備投資は16%増の800億円。インドネシアで2017年4月の生産開始に向けた新工場の立ち上げ準備をする。フィリピンでは2017年初めから「ミラージュ」「ミラージュG4」の生産を開始する計画。研究開発費は23%増の970億円。新型SUVやアウトランダー次期車の開発、先行研究を強化する。

一方、4車種の燃費は従来のカタログ値より7~17%低くなる。燃費悪化を受け、値下げや装備の拡充が検討されているもよう。


日産自動車 三菱自動車の株式34%を取得

日産自動車は、2016年5月12日、三菱自動車の株式34%を2370億円で取得すると発表した。新規発行される5億660万株を1株あたり468.52円で取得。2016年末までに完了する。日産は三菱自動車の筆頭株主となる。三菱自動車は上場を維持する。

燃費データ不正操作問題に揺れる三菱自動車の再建を支援する。また、日産自動車と三菱自動車は、両社のプラットフォームの共用や新技術の開発分担、生産拠点の協調、成長市場を含む複数面で強力することにも合意。車の次世代技術の開発や生産拠点の一体運営、中国・アジアなど新興国市場の開拓、購買部門の連携によるコスト削減、自動運転技術などで連携する。

項目 内容
投資額 2370億円
対象 三菱自動車株34%
完了 2016年末
目的 燃費データの不正問題による三菱自動車の再建支援
自動運転など車の次世代技術の開発
生産拠点の一体運営
中国・アジアなど新興国市場の開拓
購買部門の連携によるコスト削減


日産自動車の業績推移

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2016年(予) 11兆8000億円 8000億円 5250億円 - - -
2015年 12兆1895億円 8622億円 5238億円 5兆1407億円 17兆3736億円 27.2%
2014年 11兆3752億円 6942億円 4575億円 5兆2472億円 17兆456億円 28.4%
2013年 10兆4825億円 5217億円 3890億円 4兆6715億円 14兆7034億円 29.5%


【地域別】

    日本 北米 欧州 アジア その他
2015年 売上高 4兆5042億円 6兆5004億円 1兆9154億円 1兆7874億円 1兆1687億円
営業利益 3035億円 3990億円 ▲142億円 874億円 59億円
2014年 売上高 4兆5159億円 5兆6152億円 1兆9265億円 1兆7353億円 1兆1580億円
営業利益 2440億円 2957億円 ▲257億円 556億円 ▲189億円
2013年 売上高 4兆8240億円 4兆8299億円 1兆8817億円 1兆5938億円 9994億円
営業利益 3226億円 1919億円 ▲236億円 532億円 ▲299億円


三菱自動車の業績推移

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2016年(予) 1兆9100億円 ▲280億円 ▲2400億円 - - -
2015年 2兆2678億円 1410億円 890億円 7018億円 1兆4337億円 48%
2014年 2兆1807億円 1516億円 1181億円 6707億円 1兆5828億円 41.6%
2013年 2兆934億円 1294億円 1046億円 5500億円 1兆5438億円 35%


【地域別】

    日本 北米 欧州 アジア オセアニア その他
2015年 売上高 1兆8686億円 3032億円 1187億円 7357億円 2153億円 207億円
営業利益 670億円 83億円 6.1億円 551億円 64億円 ▲5.2億円
2014年 売上高 1兆8396億円 3055億円 796億円 6343億円 2180億円 288億円
営業利益 859億円 25億円 79億円 281億円 107億円 6億円
2013年 売上高 1兆7443億円 2672億円 1286億円 6166億円 2090億円 304億円
営業利益 683億円 27億円 82億円 423億円 46億円 10億円


三菱自動車の燃費不正操作問題

三菱自動車は、2016年4月20日、軽自動車4車種で燃費を実際よりも良く見せるため、不正な操作が行われていたことが判明したと発表した。実際の燃費は従来のカタログ値より7~17%低くなる。

該当車は2016年6月から生産している「eKワゴン」「eKスペース」、日産自動車向けに供給している「デイズ」「デイズルークス」。合計62万5000台となっている。

三菱自動車は燃費不正操作問題で2050億円の費用がかかる。三菱自動車や日産自動車の顧客への支払い費用として500億円、軽自動車をOEM供給する日産自動車の逸失利益の補塡や取引先の部品メーカー・販売店への補償、水島製作所の一時帰休費用などで1000億円の特別損失を計上する。また、営業利益では国内販売の減少や無料点検などの費用で550億円を見込む。


【補償・負担】

項目 2016年
顧客への支払い費用 500億円
日産自動車・販売会社・サプライヤー向け支払い 1000億円
水島製作所の一時帰休費用など
国内販売減少や無料点検などによる営業利益への影響 550億円
合計 2050億円